最大のサプライズは明本。その特徴は……

　そして、最大のサプライズは明本だ。いや、運動量とインテンシティは、J2とはいえ栃木時代に証明済み。30分に元日本代表DFの森重真人をふっ飛ばした力強さと推進力は想像の範囲内だったが、何より驚かされたのは、右サイドハーフのスタメンだったことだ。

森重を出し抜いたプレーは明本の持ち味だったが、全体を通しても効いていた©Naoki Morita/AFLO

　というのも、沖縄キャンプ以降、公開された2度のトレーニングで明本は、サブ組と目されるチームの左サイドバックを務めることが多かったからだ。

指揮官が買っている「インテンシティ」

「明本選手は相手の左サイドバックを抑えるいい働きをしていましたが、どういう狙いで起用したのでしょうか？　また、練習ではサブ組の左サイドバックに入ることが多かったですが、彼はこの1週間でどんなアピールをして抜擢されたのでしょう？」

　試合後のオンライン取材で指揮官に質問すると、こんな答えが返ってきた。

「彼の特長はインテンシティの高いプレーができること。あの力は本当に凄いし、ボールを持っているときにスペースをうまく見つけて飛び出してくれる。相手の背後を突けるので、彼を起用した。相手の攻撃に対して、体を張って守ることもできる選手で、今日の試合でもやってくれたと思う。そして彼の特長をもうひとつ挙げるなら、ポリバレントな能力だ。今日は右サイド、時にはトップ下、FW、左サイド、それから左サイドバック。本当にいろいろなポジションができる選手だと思っている」

　どんなアピールが実ったのか、それとも情報戦の一種で、非公開練習では右サイドハーフに入っていたのかは分からなかったが、いずれにしても明本が指揮官のハートを、おそらくは浦和のファン・サポーターのハートをも掴んだのは確かだろう。

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