開幕前、明本は「犬のように走り回って……」

　沖縄キャンプ中、明本にインタビューする機会があったが、最も印象に残ったのが、インタビューの終盤に彼が発したこの言葉だった。

「犬のように走り回って、大暴れしたいですね」

　FC東京戦でその片鱗はたしかに見せたが、これから試合を追うごとにその運動量やインテンシティはさらに上がっていくに違いない。

　ゲームはセットプレーから阿部のゴールで先制しながら、86分に同じくセットプレーから森重真人に同点ゴールを許し、1－1の痛み分けに終わった。

「選手たちは勝点3に相応しい内容を見せてくれたが、勝点3が獲れなくて本当に残念」

　試合後、新監督はそう言って、少しばかり悔しさを滲ませた。挨拶代わりの勝利というわけにはいかなかったが、浦和レッズは変わるんだという強烈なメッセージを、いや実際に、変貌した姿を披露したのは、間違いない。

　J1最多23シーズン出場の記録を樹立したベテランの阿部も手応えを覗かせた。

「監督が代わって最初の公式戦だったので、まずは自分たちがやってきたことをピッチの上で出そうと思っていましたし、実際、出せたシーンは多くあったと思います」

当初レギュラー候補の柴戸、金子らも燃えるはず

　こうなると俄然、注目度が高まるのが、3月2日に行われる湘南ベルマーレとのルヴァンカップの開幕戦だ。果たして、どのようなメンバーが起用されるのか。

　指揮官のスタイルに対する理解が深い田中達也や、トレーニングマッチで5ゴールと大暴れしたものの開幕スタメンを逃したプロ2年目の武田、チーム始動直後はレギュラーと目されながら、その座を阿部に譲ったばかりか、大卒ルーキーの後塵を拝した柴戸海、金子大毅らはアピールに燃えているに違いない。

　明確な設計図を持つリカルド・ロドリゲス監督のサッカーは、試合を重ねるごとに上積みされていくものだ。そのベースが早くも築かれていることが、FC東京戦で確認できた。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。