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宇都宮・安齋HCの『スラムダンク』への愛と考察がスゴい「木暮の『2年間も待たせやがって』というコメントは…」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTOCHIGI BREX INC.

posted2021/02/26 11:02

宇都宮・安齋HCの『スラムダンク』への愛と考察がスゴい「木暮の『2年間も待たせやがって』というコメントは…」<Number Web> photograph by TOCHIGI BREX INC.

宇都宮ブレックスの安齋HCは『スラムダンク』の大ファンでもある

田臥勇太との高校時代の対戦が重なる

 安齋HCは、ブレックスのキャプテン・田臥勇太と同じ1980年の生まれだ。山王工業のモデルとされる秋田県の能代工業に田臥が入学してから、主要タイトルであるインターハイ、国体、ウインターカップの3冠を、3年続けて成し遂げたのは有名な話だろう。安齋は同じ東北にある、福島工業の出身である。お互いが1年生のときにはウインターカップ決勝でいきなり対戦するなど、しのぎを削ってきた。

――山王のような強烈なゾーンプレスを現実の能代工業との試合でやられたことは?

「ありますよ! 僕はポイントガード(PG)だったのですが、あのゾーンプレスが来ただけで、『ボールを奪われるんじゃないか』と感じてしまって。小学生の頃から『月刊バスケットボール』の表紙を能代工業が飾っているのを見て、すごいなと思っていたくらいなので。あと、僕が漫画ですごく惹かれるのは、濃密な人間関係です」

ライバルが同志になるのは現実でもあること

――たとえば?

「なんといっても、魚住(純)と赤木(剛憲)ですよね。ライバルだったはずなのに、インターハイの会場に魚住が大根と包丁をもって、『泥にまみれろよ』と言いに来て(笑)。

 かつてのライバルが同志になり、パワーをもらって勝つ話はグッと来ちゃうんです。現実でもあることなので」

――バスケットに直接、関係する部分ではどうですか? 

「以前にも言いましたけど、『桜木ビジョン』みたいになることは実際にはよくあって。それで、あの発言になったんです」

――そうだったんですね。 

「僕はメンタルが弱かったので、いかにしてメンタルを強くするか、現役時にはずっと考えていました。あと、翔陽戦で流川(楓)が『全員動きがカタい。パスが出せねー』とチームメイトに言いましたよね。それで湘北の選手がカチンと来て、周りに火がついて、緊張を忘れたり。他にも、流川が桜木のお尻を軽く蹴ったり、桜木がゴリに頭突きしたりする場面もありましたよね(笑)。もちろん暴力はダメですけど、ああいうアクションには思うところがあって」

――というのは?

「身体に触れてスイッチが入るようなことは、実際にあるんです。例えば水泳選手って、試合前に身体をペチペチ叩くじゃないですか? 水泳に詳しいわけではないですけど、あのような行動を通して、集中を高めているように見えて。僕らも意図的に、そうやってスイッチを入れたりすることはあります。うちのチームでも遠藤(祐亮)が試合に出ていくときに、僕が彼の胸をポンポンと2回叩くのもそうです」

――念を送るような意味合いが?

「しっかり頼むぞ、と。もう何年も前の話なのですが、ある試合で、遠藤が自分のプレーを上手く出せないときがあって。そのときに胸をポンポンと叩いてあげたら、後半にすごい確率でシュートを決めた。それ以来、試合に出る前には毎回やっています」

【次ページ】 「サブキャラの存在意義が描かれているんです」

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