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宇都宮・安齋HCの『スラムダンク』への愛と考察がスゴい「木暮の『2年間も待たせやがって』というコメントは…」
posted2021/02/26 11:02
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
TOCHIGI BREX INC.
井上雄彦氏がTwitterで日本漫画の金字塔『スラムダンク』の映画化を発表してから、日本国民のドキドキが止まらない。
様々なメディアがこのニュースを伝え、映画の公開日もタイトルも未定なのに映画の公式Twitterアカウントはすでに9万人以上のフォロワーがいる。
今はみんなが夢と希望を語り合うタイミングなのだろう。
Bリーグ初代王者にして、今シーズンのBリーグでも首位を走る宇都宮ブレックス。そこでヘッドコーチ(HC)を務める安齋竜三に、これを機にスラムダンクの魅力を語ってもらった。
漢字は異なるが、漫画内に出てくるとあの先生と同じ読み方で「アンザイ」さん。チームを束ねる立場というのも共通している。
何より、昨シーズンの試合後の記者会見で、オフェンス時に選手たちが良い判断ができなかった原因を聞かれ、安齋HCが大真面目にこう答えて話題となった。
「『桜木ビジョン』だと思うんですよ、『スラムダンク』の。もう、ここしか見えないという……」
「桜木ビジョン」というのは漫画オリジナル版の第4巻、34話に出てくるもの。練習試合に出場した時、緊張のあまり、極端に狭くなってしまったの桜木花道の視野のことだ。
監督目線でのスラムダンク論など、貴重な考察が満載のインタビューをお届けする。
桜木がダンクを決めた“後”の場面に『あぁ、そうだよな』
――ズバリ聞きます! 『スラムダンク』で一番思い入れのあるシーンはどの場面ですか?
「ゲーム中にセリフがなく絵だけで進んでいくところです。インターハイ出場の決まる陵南戦の最後の何分間かがそうでした。あとは山王戦の最後のシーンも」
――なぜ、それらのシーンを?
「僕自身も、試合のなかで本当に何も聞こえないような状態になるときがあるんです。現役時はもちろん、HCになった今でも。ゾーンに入っているのかはわからないですけど、ファンの方も含めて会場全体が一つのプレーに集中している。そんなシーンを漫画で表現できているのが素晴らしくて」
――経験者ならではの視点ですね。
「あと、陵南戦で好きなのは、最後に桜木がダンクを決めた“後”の場面なのです。最初の練習試合で、最後に仙道(彰)に決められてしまって負けたじゃないですか。それがあったから『センドーが狙ってくるぞ!!』と声をかけ、必死に守備へ戻る、あのシーン。『あぁ、そうだよな』って……。今回のインタビューを受けるにあたって全て読み返したのですが、改めて好きな場面だなと思いました」
――『そうだよな』というのは?
「試合の終盤、どちらに転ぶかわからない場面では、極限まで集中を高めないといけない。うちのチームも、そういう場面でのリバウンドやディフェンスによって勝ちを拾ってきたようなところがあるので。僕たちの現実にもつながるものですから」