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宇都宮ブレックスのHCが「全選手」を出場させる理由 「試合には出ず『練習は頑張れ!』では厳しい」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTOCHIGI BREX INC.
posted2021/02/12 11:00
宇都宮ブレックスの安齋HCは自身の経験をもとに、選手をどう起用するかを考える
プレータイムが減ったベテランの態度が
あの2連戦で、62.5%の高確率で3Pを計5本決め、計28得点の活躍を見せた喜多川修平はエース不在時のチームの進化をこう分析した。
「12月に負けていたのは、個人、個人が頑張ろうとしすぎて、チームとしてプレーできていなかったからです」
ヘッドコーチ(HC)の安齋竜三は力を込めて語った。
「(喜多川)修平も(竹内)公輔も(外国籍選手の登録・出場ルールの改正で)プレータイムが減っている試合があるなかで、練習からやるべきことをしっかり体現してくれています。(プレータイムが減って)我慢しているベテランがそうやって練習に取り組んでくれることによって、若い選手たちがなぜ試合に出られるかを考え、もっとやらないといけないと思うようになるので。その相乗効果があると思います」
その空気は翌週、東地区3位のサンロッカーズ渋谷との試合でも変わらなかった。渡邉裕規、ロシター、比江島と主力3人を欠いた31日の試合でも勝利をつかんだ。
中心選手に依存しない、「チームワーク」。
『箱推し』のヒントは、そこにある。
安齋「どの選手にも1試合のうちでチャンスを」
チームを束ねる安齋HCには、チーム作りの上で大切にしているものがある。
「僕は、どの選手にも、短い時間であっても1試合のうちでチャンスを与えたいです。それが必ず、チームのためになると思っているので」
・試合に出場するチャンスはできるかぎり与える。
・試合で何分プレーできるのかは、各選手のパフォーマンスの良し悪しによって決める。
これが、安齋の考えだ。
実際に、今シーズンはケガやコンディション不良のケース以外では、各選手が全ての試合に出場している(一般企業のインターンにあたる「特別指定選手」をのぞく)。
試合に出られる状態にある選手が、ベンチで40分を過ごしたケースはない。年々の補強の積み重ねで、今は過去最強ともいえる成熟したメンバーがそろっているが、現在より若手の多かった過去のシーズンでも、その方針は一貫していた。