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楽天・パ上位戦力も夏場に失速の“悪癖”… 対策は石井一久監督必殺の大胆トレードでは【記録で振り返り】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2021/01/14 17:00
楽天の指導陣とコミュニケーションをとる石井一久監督。夏場以降に停滞しがちな楽天を変えるような采配、人事を見せられるか
涌井は今年6月で35歳、岸は12月で37歳。楽天投手陣はともに西武出身のベテラン2人に依存しているのだ。なお2020年、涌井の援護率(その投手が投げている回に味方が取った得点の平均)は6.33、防御率を3点近く上回る。打線の援護があっての快投でもあり、2021年に向けてはこれも気がかりだ。
ドラフトで加入した早川と高田に期待がかかる
楽天はドラフトで早稲田大の早川隆久、法政大の高田孝一と本格派投手を2人獲得している。彼らには即戦力の期待がかかる。
救援陣は「質」こそともかく「量」は充実していた。
ブセニッツ 46試1勝4敗18SV 13HD 44回 率2.86
牧田和久 52試2勝2敗2SV 22HD 50回 率2.16
酒居知史 46試3勝2敗0SV 12HD 44.1回 率3.65
寺岡寛治 24試2勝1敗0SV 10HD 20回 率3.15
宋家豪 38試1勝2敗0SV 10HD 36.1回 率6.94
松井裕樹 25試1勝2敗2SV 8HD 16.1回 率1.65
福山博之 14試0勝0敗0SV 6HD 12回 率0.75
シャギワ 31試0勝3敗1SV 6HD 26.1回 率5.81
安樂智大 27試1勝0敗0SV 5HD 31回 率3.48
健在の牧田ら救援陣はそろっている
MLBから復帰した牧田和久は、いささかの衰えもなかった。7、8回にマウンドに上がると際立った投球を見せた。松井の代わりにクローザーになったブセニッツもまずまず。ロッテから移籍の酒居、そして寺岡、安樂もセットアッパーとして機能した。さらに9月には福山が復帰し、12回で自責点1の好投だった。
そして松井裕樹は10月1日に救援に回ってから抜群の成績を残した。これを踏まえて2021年はクローザーに戻るのではないか。新外国人のアダム・コンリーは2018、2019年とMLBで2年連続50試合以上投げている左腕であり、セットアッパーとして期待ができる。また昨年9月に広島から移籍したDJ・ジョンソンも働きそうな予感がする。
強力打線の中でも浅村は長打+しぶとさ
2020年は西武打線が落ち込んだこともあり、楽天はリーグ随一の強力打線となった。
<打者の総合指標/RCの10傑>
1浅村栄斗 95.59
(432打121安32本104点1盗 率.280)
2ロメロ 65.90
(356打97安24本63点0盗 率.272)
3鈴木大地 64.24
(478打141安4本55点1盗 率.295)
4島内宏明 61.71
(406打114安8本53点9盗 率.281)
5小深田大翔 55.32
(378打109安3本31点17盗 率.288)
6茂木栄五郎 51.52
(276打83安7本33点8盗 率.301)
7田中和基 30.72
(254打61安8本25点6盗 率.240)
8辰己涼介 28.50
(251打56安8本28点11盗 率.223)
9小郷裕哉 21.17
(105打31安4本12点8盗 率.295)
10銀次 18.94
(212打50安0本23点3盗 率.236)
西武からFA移籍して2年目の浅村はリーグ屈指の強打を発揮し、なおかつ91四球を選んでいる。単に長打があるだけでなく、極めてしぶとい打者だったのだ。