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「強い松山英樹」は戻ってくるか 国民的人気のナイスガイ復活や巨大化したデシャンボーの飛距離は?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/01/07 06:00
松山が最後に米ツアーを制したのは2017年夏。今季は専任コーチとともに新たな挑戦の1年となる
米ゴルフ界全体を見渡せば、2021年の最大の関心事となりそうなのは、残念ながら、「やっぱりコロナ禍の影響」と言わざるを得ない。
米ツアーは今週からハワイ・マウイ島で新年初戦のセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズを開催し、来週はオアフ島でソニー・オープン、その後は米本土に移り、西海岸シリーズが展開される。
そうした試合の大半は無観客となり、観客を入れるとしても少人数に抑えられる。大観衆が熱狂するあのフェニックス・オープンでさえ、1日8000人限定となる予定で、スタジアム型の16番パー3は、3階建てのギャラリースタンドを1階建てのオープンスタイルに変更して対応すると見られている。
米ツアーはフラッグシップ大会である3月のプレーヤーズ選手権から観客をフルに入れる予定だという説がある。だが、その翌月のマスターズは、本来なら1月1日から配布するはずのパトロンバッジをいまなお配布しておらず、今年もオーガスタ・ナショナルに大観衆が押し寄せることはないという見方が現状では有力だ。
その先のことは、もはや予測すらできないが、試合会場にかつての賑わいが戻ってくる日が、必ず訪れると信じたいし、信じるしかない。
デシャンボーはゴルフビジネスも変える?
そんなふうに試合を取り巻く環境は混沌としているが、2021年のゴルフ界で話題や注目を独占しそうな選手を挙げるとしたら、筆頭は、やっぱりブライソン・デシャンボーだ。
肉体の巨大化と飛距離アップに挑み続けているデシャンボーは、昨年の全米オープンを圧勝したが、「48インチのドライバーで勝利を目指す」と豪語していたマスターズでは、結局、48インチを使える段階まで到達できぬまま、34位タイに終わった。
だが、探求心と向上心に溢れるデシャンボーゆえ、すでに平均で330ヤード超を記録している飛距離を今年さらに伸ばすであろうことは想像に難くない。48インチあるいはそれに近い長尺ドライバーを今年は本物の武器に変えてくるに違いない。
そうなったとき、デシャンボーの成長や活躍は、ゴルフのパワーゲーム化や用具開発の今後の方向性、さらには肉体改造やフィットネスの在り方、スロープレーに関する考え方や見方にまで大きな影響を与えることになる。
言い換えれば、デシャンボーはいろいろな面でゴルフ界やその周辺ビジネスに大きな影響を与えるマルチ・インフルエンサーだと言っていい。