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「箱根駅伝とは“別の軸”で世界と戦える選手を」“指導者”大迫傑が次の世代に託したいこと 

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林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byShota Matsumoto

posted2020/12/31 11:08

「箱根駅伝とは“別の軸”で世界と戦える選手を」“指導者”大迫傑が次の世代に託したいこと<Number Web> photograph by Shota Matsumoto

大迫傑は日本人が世界と戦うためのチーム「Sugar Elite」を発足。どんな未来を描いているのか

子どもたちに教えるのは新鮮な体験だった

 7月、大迫は自身のSNSで、日本人が世界と戦うためのチーム「Sugar Elite(シュガーエリート)」を発足すると発表。同時に夏合宿に参加する大学生を公募。その合宿には、早大の中谷雄飛と千明龍之佑、東洋大の西山和弥、東海大の飯澤千翔、そして高校生の石田洸介の5名が参加し、大迫と練習をともにした。

 そしてこの12月。大迫をはじめとするトップランナーを指導する五味宏生トレーナーと大迫による、小学生を対象にしたイベント「Sugar Elite Kids」を企画した。

「大学生との合宿は世界と戦うことを目標にしたものでした。でも、それとは別にもっと陸上の裾野を広げていきたい、自分の信念ややり方を共有したいと思い、小学生向けのイベントを開催することにしたんです。競技力の高い大学生に教えるのはある意味でシンプルなんですけど、子どもたちに自分が今やっていることや考え方を的確に伝えるにはどうすればいいのか。今回のイベントは僕にとっても、新鮮な体験でした」

小学2年生の娘に話すイメージだと伝わりやすいのかな

 1日目は小学校低学年、2日目は高学年に分けて行われ、その初日を見学させてもらった。

 前半は親子でウォームアップをしたり、ゲーム性を取り入れた動きをすることで、体を動かす楽しさを知ってもらう工夫を随所に感じせるプログラムになっていた。五味トレーナーと大迫も参加したリレーでは、子供たちから「もう1回やりたい!」とリクエストされ、大迫たちが慌ててプログラムを調整する一幕もあった。

 実はシュガーエリート以前にも、大迫は帰国のたびに、小中高生を対象にランニングレッスンを主催してきた。当初は子供たちとの距離感がつかみきれず、ぎこちない部分も多かったが、回を重ねるごとに教え方も板についてきたようだ。

「五味さんが教えるのが上手なので、うまく便乗しているだけですよ(笑)。ただ、慣れてきたなというのは感じています。自分の上の娘が今小学2年生なので、彼女に話すイメージで話せば伝わりやすいのかなと思っています」

【次ページ】 夢を細分化して考えたから、結果を残すことができた

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