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2度の育成契約を経験した由規が語った意義「選手目線から見ると、ありがたいシステム」
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byNanae Suzuki
posted2020/12/23 11:04
育成契約を「前向きに捉えていた」と語った由規。支えてくれたヤクルト、手を差し伸べてくれた楽天に感謝の弁を述べた
「可能性が広がることは良いこと」
――今年のドラフトでは巨人が育成選手を大量指名しました。
ドラフトによって、可能性が広がることは良いことだと個人的に思います。楽天でも14、5人くらい在籍していたので、(少数だった)ヤクルトとはまた雰囲気が違いました。同じ育成とはいえ、チームによって環境は大きく異なります。巨人やソフトバンクのような三軍を持つチームは、環境や待遇は良い条件なのかもしれませんが、その分、争うライバルは多い。シビアな条件でも二軍で投げられるチャンスが多い球団では、それだけ一軍に近いとも考えられます。先日のトライアウトでも、その辺りを悩む選手は多かったと思います。
――今回のトライアウトでは残念ながらオファーはありませんでした。もしNPBから育成契約でのオファーがあったとしたら、もう一度チャレンジしますか?
それは、絶対に行きます。先ほども言ったように、育成契約は「ちゃんと投げられるならば戦力」と見ていただいてるわけなので。NPBで投げるという一番の目標に近づけるのであれば、必ず挑戦したいです。
――育成契約の提示は球団からのメッセージでもあるわけですね。
同じケガでも、中には育成契約のチャンスすらも与えられずに自由契約になる選手もいる厳しい世界です。だから選手目線から見ると、ありがたいシステムだとは思います。チャンスをいただけるだけでも、という選手がほとんどだと思いますよ。
支配下のままではリハビリに焦りを生む
――由規選手としては育成契約というシステムはあったほうがいいと?
僕はそう思います。何度もケガを経験したからこそわかるのですが、手術した選手が支配下登録のままチームに残ってしまうとリハビリで焦りを生むこともあるんです。チームに迷惑かけれない、早く復帰しなきゃと急いでしまう。ケガをした選手にとっても、余裕を持って目標を設定することは大事なことですから。
――たくさんの貴重なお話、ありがとうございました。来季も活躍、期待しています。
【#1から読む】由規インタビュー 2度目の戦力外通告、トライアウトでも声はかからず…でも「まだまだ投げられる」
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。