才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
Bリーグでの活躍を支える
富樫勇樹のポジティブ力。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/09/09 11:00
富樫がぶつかった唯一の壁とは。
僕あまり壁にぶつかったと思ったことがないんです。競技人生の中で、唯一壁があったとしたら、大学進学の条件だった「NCAAのディビジョン1」、「全額免除奨学金」が叶わなかったことですね。興味を示してくれる大学はあっても、結局声はかからない。トップレベルの高校でプレーをしていても、ディビジョン1の大学はさらにいくつもレベルが上がるので、僕のサイズでどれぐらいやれるかと心配だったんでしょう。
ただ、そこで挫折を感じたかというと、僕も高校の3年間で周囲を納得させられるだけのプレーを見せられなかった部分がある。こういう結果になったのは仕方ない。授業料を払うなら、日本に帰ろうときっぱりと決断しました。
ハンデを上手く言い訳にする。
身長に関しては、自分ではめちゃくちゃハンデがあると思っています。でも、それを上手く言い訳にしている部分もあるんです。
同じポジションで相手が185cmだったら、もう全然違う階級で戦っている感じじゃないですか。高校1年目なんて、試合に出るのが本当に怖かったんですよ。自分が出ても何もできない、試合に出たくないという感覚があった。
だけど、この身長でもある程度のところまではできる、技術面やスピードで補えるところもあるって分かってきて。そうなると、違う階級という感覚をポジティブに捉えられる。階級が違うんだから、負けることや失敗することなんて怖くないわけです。
そういう考え方が正解かはわかりません。でも常に自信を持ってプレーをすることは本当に大事で。あまり自信がない状態で試合に出ても、いいプレーってできた記憶がないんですよ。今はBリーグの試合をするときも、オフに公園で友達とやるぐらいの感覚で、自信を持って、楽しみながらプレーできていて。ある程度の結果も出ているし、今の僕にとっては、それぐらいの感覚がいいんじゃないかなと思っています。