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ブレックスの“黄色いアリーナ”秘話。
目先の黒字額より大切なものとは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTOCHIGI BREX INC.
posted2020/08/26 11:30
客席の黄色は、入場者に無料で配られたTシャツだ。試合の時には、それを着た観客でアリーナが一色になる。
金、土、月という変則日程の理由。
ブレックスがCSにかける執念は、他の面にも表れている。彼らがいかにCSを大切に思っているかは、日程からも見てとれる。
実は、2018-19シーズンから、成績上位チームがホームで戦える準々決勝と準決勝のフォーマットが変わった。
2試合先取というルールは同じだが、1勝1敗になった場合に、3試合目は2試合目の直後ではなく、日をあらためて行うことになった。
それに伴って、チームは1試合目から3試合目までの日程をあらかじめ金曜日から火曜日までの5日間の中から3日指定できるようになったのだ。
現場の意向を踏まえずに3連戦の日程で体育館のスケジュールを抑えるチームも多い中、ブレックスは金、土、月と1日空けたスケジュールを組んだ。
経営面の論理では、3試合目は日曜の方が望ましい。しかしブレックスは、現場の安齋竜三HCの意向を聞き、金、土、月の開催を決断した。
ブレックスファンへの厚い信頼。
鎌田は言う。
「もちろん、お客さまからしてみれば、金曜から日曜日までの3試合のほうが来場しやすいということはあるかもしれません。ただ少しでも選手たちに良いコンディションでプレーして欲しいですし、シーズン中にはない3連戦を行うことで大きなケガをしてしまうリスクもあると思うので」
月曜夕方の開催となれば、平日でアリーナに駆けつけられないケースがあることはわかっている。それでも、ブレックスファンならば……という気持ちが鎌田の中にはあったという。
「月曜日の夜であっても、それが次のラウンドへの進出を決める試合ならば間違いなく、満員のお客さんが入って、ホームの雰囲気を作ってくださるだろうという自信はありました」
もちろん、試合開始の時刻も、現場の意向を最大限に考慮した上で決められているのは言うまでもない。