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渡邊雄太の成長と見習うべき選手。
来季契約の行方、コーチ陣の評価は?
posted2020/08/26 18:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Joe Murphy/NBAE via Getty Image
18試合、計105分、1試合平均5.8分。それが、渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)のNBA2年目の数字だった。
この3つの数字は、得点やリバウンド、アシストといった数字よりも今シーズンの渡邊の状況を表していた。NBA1年目だった2018-19シーズン(15試合、計174分、平均11.6分)と比べても、シーズン通して約70分短く、1試合あたりでも約半分の出場時間だった。コロナ禍でシーズンがいつもより短かったこともあったが、平均出場時間からわかるように、グリズリーズに呼ばれても、ベンチで悶々としていた時間が長かった。
一方で、2ウェイ契約選手として、グリズリーズ傘下のGリーグのメンフィス・ハッスルで試合に出たときには、主力として活躍していた。22試合に出場し、平均32.7分出場で17.2点、5.7リバウンド、2.2アシストをあげた。
スタッツ以上に渡邊が手ごたえを感じていたのが、点の取り方だった。ボールを独占するのではなく、むしろボールはほとんど持たず、チームメイトの動きに合わせてオフボールで空いた空間に入り込み、パスを受けてシュートを打つといったプレーを増やすようにしていた。
NBAに上がった場合、渡邊がボールをコントロールする役割を与えられる可能性は低い。Gリーグの試合に出ているときから、NBAに上がっても通用するプレーを意識してやるようになり、実際に結果を出していた。
成長を感じた一方で、悔しさも残る。
グリズリーズがプレイオフの出場を逃し、シーズンが終了した3日後の、アメリカ時間8月18日、日本のメディア向けにオンライン会見を行った渡邊は、シーズンを振り返ってこう語った。
「すごく成長を感じれた1年でもありましたし、数字を見ても、去年の1シーズン目に比べて、GリーグもNBAもあがっている部分が多かったんで、すごく自信もつきました。高いレベルでやっていけるんだということを再確認ができた。ただ、それ以上に、正直悔しい思いが残ったシーズンだったのかなと感じています」
悔しい思いをしたのは、自分では成長を感じながらも、それをNBAの試合で発揮する機会がほとんどなかったからだ。今季のグリズリーズは、新人のスーパースター、ジャ・モラントを中心とした若手チームながら、予想以上の躍進で、前のシーズン以上に勝ちにこだわるシーズンを送った。そのため、2ウェイプレイヤーの渡邊を起用する余裕がなかった。
故障者が出るとチームに呼ばれるものの、ファウルトラブルなどの非常事態があったときのための要員で、出場した大半は、勝敗が決まった後の数分だった。試合に出ればチームに貢献できるという自信を感じながらも、それを発揮する場がなかった。