Jをめぐる冒険BACK NUMBER
クラモフスキー清水の設計図に注目。
“マリノス的+α”に想うオシムの言葉。
posted2020/08/22 09:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE
アタッキングフットボールを掲げる者同士の対戦は、期待に違わぬ内容になった。
8月19日に行われたJ1・11節、清水エスパルスvs.横浜F・マリノス戦のことだ。
今季から清水を率いるピーター・クラモフスキー監督は、昨季までアンジェ・ポステコグルー監督の右腕として横浜を支えた人物だ。師弟対決として注目を集めた一戦は2分、横浜の新助っ人、ジュニオール・サントスの目の覚めるような一撃で幕が上がった。
その後、清水が西澤健太のコントロールショットですぐさま追いつくと、前田大然の技ありヘッドで横浜が勝ち越し。すると今度は、金子翔太の好クロスが横浜のオウンゴールを誘い、前半からシーソーゲームの様相を呈した。
2-2で迎えたゲーム終盤にはジュニオール・サントス、渡辺皓太の連続ゴールで横浜が突き放したが、90分にコーナーキックの流れから金井貢史が頭で押し込み、清水が1点差に詰め寄る。
なおも清水が猛攻撃を仕掛けたものの、3-4のままタイムアップ。軍配は兄貴分の横浜に上がったが、最後まで手に汗握る展開で、敗れた清水も歩んでいる道のりが正しいことを証明した。
クラモフスキー監督は胸を張った。
開幕5連敗と出遅れた清水だったが、勝点1を獲得した6節のサガン鳥栖戦から5試合負けなしと、産みの苦しみの時期を脱したように見える。横浜戦で6試合ぶりの黒星を喫したが、「すべての選手が良いフットボールを見せて戦ってくれたことを誇りに思う」と、クラモフスキー監督は胸を張った。
清水が今季、挑戦しているスタイルとは、金子の言葉を借りればこうなる。
マリノスのようなサッカー――。