Jをめぐる冒険BACK NUMBER
大槻監督が明かす浦和のコロナ対策。
在宅トレに専用マスク、選手のケア。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2020/05/29 20:00
オンライン取材に応じてくれた浦和の大槻毅監督。J再開の際には映像越しでも伝わる情熱的な采配を期待したい。
“在宅トレ”で伝えた3つのこと。
――オンラインでのフィジカルトレーニングに関しては、どのようなことをしたのでしょうか?
「石栗建フィジカルコーチと関ドクターと密に連絡を取り、WEB会議ツールを使ってトレーニングをしました。メニューは石栗コーチに組んでもらいましたが、僕から伝えたのは3つ。ひとつはみんなで時間を共有することが大きな目的だということ。画面越しになりますが、みんなで同じ時間を過ごしましょうと。続いて筋力の維持。そして有酸素能力の維持。このふたつに重点を置いてやってほしいと伝えました」
――在宅トレーニングの強度、負荷は段階に応じて変えてきたんですか?
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「ストレングス中心だったり、インターバル的なものだったり、その日によってテーマを設けています。有酸素能力の維持に関しては、走ることができないので、プロのダンサーに協力いただき、ダンスを取り入れてみたりもしました。有酸素の部分については、期間が長くなってしまったので難しかったですね。
畳1畳分のスペースでフィットネス効果を得るのはやはり大変です。ですから、規則正しい生活じゃないですけど、みんなで時間を共有しながら最低限のトレーニングをこなすことができればいいかなと」
動きたいという欲求をどうするか。
――選手たちも不安やストレスを抱えていたと思いますが、選手のメンタル面をケアするうえでは、どのようなアプローチを?
「ミーティングでは今の社会情勢も伝えていましたけど、やはり選手はアスリートですから、動きたいという欲求がありますよね。話を聞いてみると、道路を走っていたり、公園を走っていたりすると。みんな、気をつけながら走っていましたが、公共の場だと誰と交錯するか分からない。もしかしたら、そちらのほうが感染のリスクがあるかもしれない。
そうした中で不安を抱えながら体を動かすより、時間を決めて、エリアを区切って、限りなく少人数にして大原のピッチを開放したほうが安全かもしれない。そうしたことも強化担当や関ドクターに相談しました。その際に、トレーニングマスクを提供していただくことになったんです」