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総体中止は高校バレーにも衝撃。
コロナ収束後の未来を描く必要性。 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2020/05/15 07:00

総体中止は高校バレーにも衝撃。コロナ収束後の未来を描く必要性。<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

今年1月の春高を制した東山も緊急事態宣言発令以降は練習もままならない状態が続いた。

「どうしたらいいのかわからない」

 全国だろうと、関東だろうと、大きな大会に向けて「強くなりたい」と願い、励む日々は同じ。その集大成となるべき、たとえ負けてもやるだけやった、と達成感を得られるはずの最後の試合が、突如なくなる。そんな選手たちの心情を鑑み、開成高男子バレーボール部の宮利政監督は「まだ受け入れられていないのではないか」と慮る。

「特に思い入れが強かったキャプテンは、関東大会の予選が中止になった時点で『僕はインターハイ予選に出ます。それが無理なら春高予選でもいい。後輩の邪魔にならないように、どうしても試合に出たいです』と。引退時期については生徒に任せていますが、春高予選は8月後半から9月なので、受験を考えれば現実的には難しい。どうにかしてあげたい、というのは指導者みんなが思っていることなのですが、どうしたらいいのかわからないのが現状です」

 最後の試合ができないまま、3年間に区切りをつける。その悔しさやもどかしさはいかほどか。たとえどんなゴールだったとしても、やりきった、という達成感が次の試合だけでなく、これからの人生につながる糧となる。ここまでの時間は決して消えるものではないのだから、それだけでもよくやった、そんな言葉は何の慰めにもならず、ならば試合をさせてくれ、そう思うのではないだろうか。

「やりきった」と終われるように。

 事態の収束はまだ見えず、インターハイの悔しさを晴らす、と新たなモチベーションとする春高も、必ず開催されるかと言えば今はまだわからない。想像したくなくても、嫌でも考える。もしも春高が開催されなかったら、どうなるのか、と。

 ユニフォームを着ることも、負けて悔し涙を流す機会すら与えられない。そんな結末は見たくない。ならば、この機をチャンスと思い前を向く選手や指導者のように、今何ができるのかを考える。それが今、大人にできることではないだろうか。

 たとえばどんな形であれ、試合がしたいと生徒が願うならその場を設けること。もちろんその発案が、生徒たち自身によるものだって構わないし、大臣の名がつく安易な代替大会である必要などない。春高に目を向けるならば、無観客開催や日程を見直して1つの会場に集まる人数を減らすことなど、今から策を練ればいくらでも方法はあるはずだ。

 何が正解かわからない時だからこそ、その1つ1つがきっと、描く未来へつながっていくと信じて進むしかない。新しい世代のパイオニアとなる選手たちが、1人でも多く「やりきった」と達成感を抱いて次のステージに進み出すことができるように、と。

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