プロ野球PRESSBACK NUMBER
ついにプロ野球人が立ち上がった!
新型コロナ禍の大規模寄付活動開始。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byMari Okada
posted2020/04/17 18:00
「自分もスポーツを通して社会貢献したい」という思いから、さまざまな慈善活動を展開している岡田真理。
すぐに各チームの839選手に連絡が回った。
提案するに当たって、寄付のハードルを低く設定したことも、選手会が賛同した理由の1つだろう。
「寄付って強制するものではないと思うんですよ。年俸から家族構成まで各選手で事情は違いますし。各球団の選手会長だけは、リーダーとして寄付をしてくれたら有難い。でも、その他の選手が寄付するかどうかは本人にお任せしますと。寄付額も1口千円から1千万円まで無理のない範囲でいいですし、寄付額を公表する必要もありません」
当基金の設立から、わずか数時間後に、岡田は選手会の事務局に連絡していた。
翌日、事務局から連絡を受けた炭谷選手会会長は、すぐに12球団の選手会長と相談し、各球団の選手会会長が各チームの選手たちに連絡。支配下と育成の全839選手にこの提案を説明した。
岡田はその旨の連絡を受け取ると、すぐに「READYFOR」に連絡を取り、プレスリリースを作ったりと事務的な作業を進めた。
4月8日の選手会の発表に至るまで、費やした時間は、わずか5日間。
岡田は、語気を強めた。
「やるなら、迅速にやりたかったんです」
テロ発生からわずか5日後に始まった活動。
岡田の視線の先にはアメリカがあった。
今から7年前、アメリカのボストンマラソンで、爆弾テロが発生した。
ボストンマラソンは即時に中止され、3人が死亡し、282人が負傷した。
テロ発生時、大リーグの球団ボストン・レッドソックスは敵地クリーブランドへの移動中であった。その敵地での3連戦を終え、犯人も捕まり、ホームで試合を再開した。
再開当日、いざ球場が開場すると、Tシャツやキャップなどチャリティのグッズが、ずらっと販売された。
レッドソックスの選手も特別仕様のユニフォームを着用し(試合後にチャリティオークションへ出品)、試合前の追悼セレモニーなど、レッドソックスは万全の準備を整えたのである。
テロ発生から、わずか5日後のことであった。