炎の一筆入魂BACK NUMBER
初の開幕一軍を目前にして、延期。
カープの若手左腕コンビの心境は?
posted2020/04/17 11:40
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
新型コロナウイルスの影響でプロ野球の開幕が延期となり、選手たちは先行きが見えない日々を過ごしている。
広島ナインは投手と野手をそれぞれ午前と午後の2班に分ける4班制を組んで調整を続けている(4月13日現在)。初の開幕一軍をはっきりと捉えていた若手にとってもまた、先の長い戦いとなっている。
高卒6年目の塹江敦哉、高卒5年目の高橋樹也の左腕コンビは初の開幕一軍が目前に迫っていた。ただ、開幕の遅れは、出遅れていた実力者たちにも時間を与える。当初の開幕には間に合わなかったはずの左腕・中村恭平はブルペン投球を再開し、術後の中崎翔太や今村猛も二軍で調整中。ゴールが見えないレースの後方には経験者たちが控えるだけに、両左腕は一瞬の隙も見せることができない。
人との接触を減らす目的と、感染者が出たときに拡大させないため、広島はしばらく一軍と二軍の入れ替えを止めている。一見、無風に過ぎ行く時間も、嵐の前の静けさかもしれない。
開幕延期への気落ちはない。
塹江は長期的な視野を持ちながらも、現状を冷静に受け止める。
「開幕が遅れたことでの気落ちは全然ない。開幕一軍を大目標にしていたら、かなり(気持ちが)落ちていたと思う。でも開幕(一軍)に入ったことがなかったので、目標にしても達成の仕方が分からないので、“開幕一軍”というよりも、1年トータルで見て、長く活躍できるようにとやってきた」
短期目標はあくまで長期目標の手前にあるものであり、長期目標が定まっていれば自らが進むべき道に迷うことはない。
塹江とは調整するグループが分かれている高橋樹も同じように、見えないゴールを見ようとはしない。
「1日1日できることをやるだけだと思っています」
自ら足元を照らしながら、確かな一歩を進めている。