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Jリーグの再開が延期へ。次の論点は
タイトな日程、無観客、警備事業者。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2020/03/09 19:00
Jリーグとプロ野球、日本の2大プロスポーツが出口の見えないトンネルに突入している。
従来からスケジュールはかなりタイト。
このため、延期分をミッドウィークのナイトゲームとして組み込んでいくのが現実的な対応になる。ルヴァンカップや天皇杯のスケジュール変更や縮小も視野に入る。
ただ、それにも限度がある。
ここ数年のリーグ戦では、集中豪雨や台風による延期を余儀なくされてきた。同様の事態を想定しておくと、現時点でもスケジュールの余白は決して多くない。
J1リーグが4月いっぱいまでの延期になると、実に10試合分が先送りになる。国内のプロスポーツがそこまでストップしていたら、いよいよ東京五輪の実施も危うくなっている可能性はある。いずれにしても、10試合分の先送りを既存のスケジュール内に埋め切るのはハードルが高い。
無観客開催は経済的なダメージが甚大。
リーグ戦の全日程消化を念頭に置くならば、4月中のどこかで再開へ踏み切りたい。そこで浮上してくるのが「無観客試合」だ。
Jリーグのクラブの営業収益において、入場料収入はスポンサー収入に次いで多い。無観客試合となれば入場料収入が無くなるうえに、試合当日のグッズ販売や飲食販売も見込めない。シーズンチケットの一部払い戻しも発生してしまうだろう。
村井チェアマンも無観客試合には否定的である。だが、いよいよ踏み切らざるを得ないとなれば、Jリーグが規約化しているリーグ戦安定開催融資規程や大規模災害時補填規程を当てはめて、財政難に直面するクラブを支えていくしかない。リーグ戦の成績によって分配される理念強化配分金を、今シーズンに限っては全クラブを対象にするといった見直しがあってもいいだろう。
Jリーグのスケジュールを左右するもうひとつの要素に、インターナショナルウインドーがある。こちらも不透明感を増しており、今月末のカタールW杯アジア2次予選はもちろん、ウイルスの世界的な拡大に照らせば6月の同予選も延期となるかもしれない。
そうなれば、インターナショナルウインドーに伴う空白期間を、リーグ戦に充てることは可能となる。