濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
上場企業の後押し、女性限定大会――。
プロレス・格闘技“女子”の可能性。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/02/29 11:40
スターダムの星輝ありさとKNOCK OUTのぱんちゃん璃奈は試合に向け合同公開練習。ブシロード傘下の団体同士による理想的なコラボだった。
演劇、アイドルの世界からも。選手たちの多様性。
スターダムに限らず、現在の女子プロレス界にはきっかけしだいで大きく飛躍する可能性がある。それだけの“地熱”があると言えばいいだろうか。
クラッシュ・ギャルズがもたらした黄金時代、'90年代の団体対抗戦によるブームが過ぎ去ると、業界は大きく冷え込んだ。そもそも選手を目指す“女子”がいなかった。だが、そこからたくましさを発揮した新時代の先駆者もいた。
“グラレスラー”愛川ゆず季が話題を呼んだスターダムでは、演劇の世界からも選手をスカウト。アイスリボンはプロレスを題材にした映画の出演者オーディションからも選手を輩出した。その1人が現在、取締役選手代表を務めている藤本つかさだ。
藤本たちをデビューさせたさくらえみは、新団体・我闘雲舞(ガトームーブ)を立ち上げ、さらに一般から参加者を募るプロレス教室『誰でも女子プロレス』からも選手を育てている。
東京女子プロレスでは伊藤麻希がアイドル出身。オーディションの段階でプロレスとアイドルの二刀流を謳ったアップアップガールズ(プロレス)のメンバーたちも選手として軌道に乗った。
アイドルがいて個性派がいて、体の大きさもバックボーンも様々。デビューしたての選手は弱々しくもあるが、だからこそファンは彼女たちの成長を熱心に見つめる。そういう中で、本格志向のセンダイガールズプロレスリング(里村明衣子代表)も光る。多種多様だからこそ、今の女子プロレスは面白い。
ビッグイベントも続々開催!
スターダムの木谷高明オーナーは、もともと新日本プロレスの世界戦略として女子プロレスのリサーチを始めたという。WWEをはじめ、海外では一つの大会で男女両方の試合が組まれることが珍しくない。
しかしリサーチを重ねる中で、スターダム自体に「IP(知的財産)・キャラクターコンテンツとして大きな可能性がある」と考えるようになったそうだ。
4月29日、スターダムは大田区総合体育館でビッグイベントを開催する。アイスリボンは今年、後楽園大会を増やすとともに3年連続で横浜文化体育館大会を行なう。東京女子は4月に初のアメリカ大会、11月には後楽園の2倍のキャパを持つTDCホールに進出することが決まった。