大相撲PRESSBACK NUMBER
筋トレはお相撲さんを裏切らない!
親方から聞いた秘密のメニュー公開。
posted2020/02/25 11:40
text by
飯塚さきSaki Iizuka
photograph by
Kyodo News
「土俵のケガは土俵で治せ」
そう言われた時代もあった。
同時に、いつの時代の力士たちも、土俵を、つまり稽古を、最も大切にして取り組んでいることは言うまでもない。
四股、鉄砲、すり足、ぶつかり、申し合い……これらが相撲の基本であり、稽古なくして力士たちの強さは成立しないのだ。
しかし、その“補強”として、ジムでのトレーニングに励む力士も少なくない。
肩の脱臼癖があったかつての大横綱・千代の富士が、ウェイトトレーニングで肩に筋肉の鎧をまとうことで克服したのは、有名な話である。
力士と筋力トレーニングは、一見かけ離れたもののように感じられるかもしれないが、決してそうではない。
本格的なトレーニングルーム完備の相撲部屋。
いくつかの相撲部屋には、ウエイトトレーニングルームが完備されているところがある。
「なまこ」の愛称で知られた平成初の横綱・旭富士(現・伊勢ヶ濱親方)は、その現役時代に最新の筋トレに取り組む力士の1人だった。親方になってからも、弟子には筋トレの重要性を説いた。
彼は、約11年前に部屋を改装する際、地下にウエイトトレーニングルームを作っている。決して広いとはいえない大きさだが、全面に鏡が張られており、狭さを感じさせない。置かれている器具も、知り合いのジムから譲り受けた本格的なものだ。
若い頃から筋トレが大好きだったと話す伊勢ヶ濱親方。
ウエイトトレーニングルーム設置の経緯については、「私自身、現役時代に筋力トレーニングをしたことで、体ができて番付も上がっていきました。ケガしたとき、患部以外の部位を鍛えるのにもいいし、そもそもケガの予防にもなります。筋力トレーニングはあくまで補強ですが、大勢で鍛えると競争心が芽生えて、お互い刺激になるかなと思ったんです」。