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筋トレはお相撲さんを裏切らない!
親方から聞いた秘密のメニュー公開。
text by
飯塚さきSaki Iizuka
photograph byKyodo News
posted2020/02/25 11:40
江戸時代から何百年も続く伝統的な稽古「てっぽう」をする貴景勝。その一方、最先端のトレーニングも取り入れ身体を鍛え上げている。
相撲の動作に必要な種目を積極的に。
同じく押尾川親方は、現役当時からかなりの筋トレマニアだった。
日本全国どこにいても、滞在先でジムを探しては汗をかきに走り回っており、それは親方になった今でも変わらない。
力士にとってのトレーニングについて、「重要なのは、相撲の動作に必要な種目を積極的に取り入れること。力士は下半身、特におしりの筋肉が大切ですが、押し相撲の私にとっては、腕と胸で前に押す力も大事。だから、ベンチプレスなんかも重要な種目の1つです」と話していた。
ちなみに、押尾川親方の現役当時のベンチプレスのセットは、60kg×10~15回→100kg×5回→120kg×5回→140kg×5回×5セット→100kg×5回→100kg×10回。
これもまた……「思わず笑ってしまうほど」驚異的な数字だ。
貴景勝はアジリティ・トレーニングも!
最近の現役の力士たちは、トレーナーについてもらって特定のトレーニングジムに通ったり、定期的に大学などの母校に通ってその施設を使わせてもらったりと、なんらかの形で筋トレに取り組んでいる。
なかには、大関・貴景勝のように、ウェイトトレーニングだけにとどまらず、「アジリティ(敏捷性)トレーニング」に励む者までいる。さらに彼は、ダルビッシュ有選手などトップアスリートのトレーニングや栄養面を指導するトレーナー・山本義徳氏の著書を読んで勉強してるという。どれもこれも、相撲におけるパフォーマンス向上をねらったものだ。
力士にとっては、稽古が一番。
その位置づけに揺るぎはない。
ただし、「その先の強さ」を見据えたとき、ウェイトトレーニングのもたらすものの大きさを身に染みて感じているからこそ、こうして彼らは熱心に取り組むのだろう。
伝統文化を色濃く継承する相撲界。そのよさを残しつつ、最先端のスポーツ科学が本格的に介入する時代は、もうすぐそこに迫ってきているのかもしれない。