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好物マカロンも断ち、過酷な減量。
レスリング・樋口黎が誓う師匠越え。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byMiki Sano
posted2019/12/26 20:00
「マカロン王子」の異名を持つほどの樋口。あまりに好きすぎて大学生時代には自作に挑戦したこともあったという。
2、3カ月で10年分くらい野菜を摂った。
そこから先は、「がんばって節制した」と胸を張ったリオ五輪前でさえ食事全体の2割程度しか摂取していなかった野菜を、“メインディッシュ”にした。9月より前は普段の体重が67キロ前後あったが、それを62キロ前後まで落とし、さらに今大会前に5キロ絞った。
「3、4カ月かけて、ずっと野菜をメインに食べてきました。もう、それこそ練習よりシビアに取り組んで体重を落としましたね。多分ここ2、3カ月で10年分くらい野菜を摂っています。反対に食べていないもの? マカロンです。半年は食べていません」
リオ五輪の頃は「マカロンが好物」と言い、「甘い物からしょっぱいものまで、あらゆるものを網羅していました」というお菓子好きが、見事に変身を遂げていた。
「地獄を見てでもやらないといけない」
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「僕には五輪に懸ける思いがあるから、ここで負けたら明日死んでしまうぐらいの気持ちで取り組んできました。東京五輪で金メダルを取るためには、地獄を見てでもやらないといけないと思っていました」
具体的に食事内容で気をつけたのは、脂質をなるべく減らして野菜をメインにすることだ。
ただし、体を動かすためのエネルギー源となる糖質はカットしない。大学の近くの定食屋に協力してもらい、目的に沿った食事を廉価で提供してもらいながらの節制。
「昔ながらの日本人の食事バランスが一番。リオ五輪前も“お菓子絶ち”はしましたが、今回の方がシビアにやりました。本当に、健康的な生活をしてこられたと自信を持って言えます」
リオ五輪の時のルールは計量が一回だったが、今大会はリオ後に改正されたルールに則って予選から決勝までの2日間、いずれも朝に計量するため、体重管理とパフォーマンス維持の難しさは増している。