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イチローが学生野球の指導者に?
引退後の言動で読み解く、その真意。 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byKyodo News

posted2019/12/18 11:50

イチローが学生野球の指導者に?引退後の言動で読み解く、その真意。<Number Web> photograph by Kyodo News

12月13日から3日間にわたって行なわれた「学生野球資格回復制度」の研修会を真剣な表情で受講するイチローさん。

現役引退後に増えた質問。

 そのイチローさんから常日頃、聞かされてきた言葉が3つある。

「嘘は言いたくないですから」

「聞かれれば言いますけど、自ら言うことはないです」

「自分が経験したことはある程度言えますけれど、そうでないことは難しいですよね」

 1つ目と3つ目は『自分の発言に責任を持つ』という共通項で繋がる。2つ目は『価値観は人それぞれ。自分の考えを人へ押し付けることは出来ない』という意味合いを持つ。

 現役時代、この3つは同僚をはじめとする選手、関係者とメディアへ向けたものであったが、マリナーズの会長付き特別補佐兼インストラクターとなった現役引退後は、当然のように同僚選手をはじめとする関係者から意見を求められることがより多くなった。

 その中で現役時代にはなかった質問も増えだした。それは投手についての質問だ。現役時代も打者としての目線で投手へ伝えてきたことは多かったが、今は投手が抱える問題にも直接意見を求められることも多くなった。そのわかりやすい例が、高校野球を中心とする「球数制限」である。

打撃投手として連日300球でも問題なし。

“ピッチャーじゃないからわかりません”ではあまりにも無責任と考えたイチローさんは、シーズン中、シアトルで室内外の打撃練習で後輩たちに連日300球近くを投げ込んだ。

 打撃投手とは言え、毎日300球近くを投げることは相当な負担が肩肘にかかる。その中でアイシングは行わず初動負荷理論の特殊マシントレーニングで回復に努め、打撃投手役を務め上げたイチローさんは言った。

「肩肘はまったく問題ないですね。いくらでも投げられます。僕は、ですけど」

【次ページ】 「小中学生には軟式の方が良い」と考える理由。

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