ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
研究熱心なバウアーとDeNAの親交。
「とにかく野球を楽しんでください」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
posted2019/12/08 11:40
日本の野球文化、トレーニングに興味があったというバウアー。DeNAの二軍施設を視察しながら、選手たちとも交流した。
最終的に判断するのは自分の肉体。
今月9日から約2週間の予定でドライブラインでトレーニングを開始する今永は、その目的について「ストレートのアベレージを上げ、高い出力を保ったまま長いイニングを投げるヒントを得たい。また今季、オールスター後、自分のパワーと球速が比例しないことがあり、どんな状況であってもパワーをボールに伝えるための引き出しを増やしたい」と語った。
今永は歓談中、ドライブラインで学ぶことの留意点を尋ねると、バウアーは次のように答えている。
「ドライブラインの基本は、体の動きやボールの質について評価をすることにある。そして、その評価に合ったプログラムを提案するわけだけど、実際始めてみて、もし自分に合わないと感じたり、違和感があったらすぐトレーナーに質問して欲しい。それで納得がいけばいいが、もしそうではなかったら合ってないプログラムだからつづける必要はない。合わないことは普通にあることだし、わからないことがあったら質問することが大事だよ」
いくら最新鋭のトレーニング方法といっても、実践をする場においてはすべてを鵜呑みにするのではなく、最終的には肉体の声に耳を澄ませ、自分で考えなければいけない。
今永もそのあたりについては慎重だ。
「過去に怪我の事例があることも知っています。合うか合わないかはわからないけど、やってみなければわからないし。自分なりにいいところを発見して、それを抜粋できればいいと思っています」
選手だけでなく、コーチも学ぶ。
ポジティブな面ばかり報道され話題になっているドライブラインであるが、あえてトレーニングすることのリスクについて単刀直入にバウアーに尋ねると、しばし黙考し次のように答えた。
「まずドライブラインというのは、怪我のリスクを軽減させるプログラムであるということを知ってもらいたい。野球をする時点で、そこにはいろいろなリスクがありますが、あくまでもドライブラインはリスクを減らすことが目的としてある。コーチが正しい体の動作を教えてくれればいいのですが、すべてをフォローできるわけではないし、そこをドライブラインが補っているという側面もあります。ですから最近は、選手ばかりではなくコーチたちにも学んでもらい、それを選手に伝えるという流れも作っているんです」
野球は常に進化し、同時にテクノロジーは急速に発展している。選択肢は広がっており、いかに選手や球団は、リスクも含めなにを目的とし取捨選択をしていけばいいのか、これまで以上に試される時代になってきそうだ。