球道雑記BACK NUMBER
大学日本一を引っさげてプロの道へ。
慶大・郡司裕也は根っから捕手気質。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/11/23 11:50
明治神宮大会決勝、先制2ランを放った郡司裕也。主将の1発で勢いづいた慶應大が19年ぶりに大学日本一に輝いた。
高い出塁率を生んだ選球眼。
この秋は攻撃面でも気を吐いた。
リーグ戦11試合で33打数13安打、打率.394、本塁打2、打点10。戦後14人目の東京六大学野球の三冠王に輝いた。慶大では1996年春の高橋由伸以来、実に23年ぶりの快挙だった。さらに10月17日のドラフト会議で中日ドラゴンズに4位指名を受けて以降は、21打数9安打、打率.429とバットが奮い、注目度の高さを結果につなげる精神力の強さも示した。
調子の波が少ないバッティングを支えるのはポイントを手元まで引きつけ、ボールをしっかり見極められる選球眼。この秋はリーグ最多の14四球を選んで、出塁率はリーグでもひと際高かった。
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「ここが良くなっているというのは数字じゃ言い表せないですけど、あえて言ったら長打力は上がっていると思います。あとは自分のスタイルがだんだんと分かってきた。やっぱり僕はフォアボールを選びつつ、センターから逆方向を狙って、タイミングが良かったときにホームランを打てるような中距離タイプだと思うんです。それがこの4年間で分かってきました」
11月15日に開幕した明治神宮大会でも、3試合で11打数4安打、打率.364、打点7、本塁打1、2四球の好成績を残して4番の重責を果たした。
「打っているときは読みが当たっているとき。なので、これが僕のスタイルなのかなと思います」
早くも高まる期待、本人は冷静。
来季から籍をおく中日のファンからは、早くも「開幕一軍」、「開幕スタメン」といった声も飛んでいる。郡司も当然、そこを見据えて、ここから2カ月を過ごしていくことだろう。
「(大学)日本一にはなりましたけど、実力はいきなり通用するものじゃないと思っています。1月からプロ野球選手としての生活が始まりますけど、それまでの期間が本当に大事な期間、レベルアップの期間だと思っている。また課題と向き合って、基礎から練習していきたいと思っています」
日本一となった大学生捕手。学生生活は残りわずか。だが、その短い間にも彼はまだ成長しようとしている。