Beyond The GameBACK NUMBER

「選手ファースト」の真の意味とは?
~東京五輪のマラソン札幌移転について~

posted2019/11/21 07:00

 
「選手ファースト」の真の意味とは?~東京五輪のマラソン札幌移転について~<Number Web> photograph by KYODO

11月1日の4者協議前、IOCのコーツ調整委員長と言葉を交わす小池都知事。

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

PROFILE

photograph by

KYODO

 ドタバタの末に2020年東京五輪のマラソンと競歩の札幌移転が決まった。

「合意なき決定だ」

 移転が正式決定した東京都と国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会、政府の4者協議後に、小池百合子東京都知事はこう怒りと無念を吐き出した。そこには五輪の華と言われるマラソンを失った開催地の長としての、苦渋の色が滲み出ていた。

 ただその一方で札幌移転は選手の安全を守り、競技環境を整えるには合理的な判断と言えるだろう。

 今回、IOCが札幌移転に踏み切ったきっかけは、9月末から10月初旬に行われたドーハ世界陸上選手権の男女マラソンで、酷暑のためにリタイアが続出したのを受けてのものだった。もともと真夏の東京でのマラソンや競歩の運営を危険視する声は多くあった。もちろん東京都も暑さ対策を掲げ様々な環境整備を行ってきたが、どう考えても気温30度を超す環境が、マラソンと競歩にそぐわないのは明白である。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 918文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

#東京五輪
#オリンピック・パラリンピック

陸上の前後の記事

ページトップ