東京五輪仕事人BACK NUMBER
新国立競技場の工事責任者が語る、
超大型工事の進捗と「暑さ対策」。
text by
芦部聡Satoshi Ashibe
photograph bySatoshi Ashibe
posted2019/09/02 07:30
小松幸雄さん。
「観客席に関しては意外と涼しい」
真夏の五輪ということで暑さが懸念されているが、屋根が完成したことで客席の陽射しはかなり和らいだと小松さんは語る。
「フィールド上の暑さというのは競技者でないと体感できませんが、観客席に関しては意外と涼しい。2年半ここで働いていて分かったのですが、ここはけっこう風があるんですね。記録的な猛暑だった去年も風が吹き抜けるおかげで、それほど暑さを感じなかった。今年は屋根がかかって日陰もできました。気流創出ファンという巨大な扇風機のような機械で下層に向かって風を送り、暖かい空気を上に逃がして空気を対流させる工夫もある。観客席には、エアコンはありませんが、猛暑対策は施されています。うだるような暑さは避けられるでしょう」
ところで五輪のシンボル、聖火台は?
「聖火台に関しては組織委員会が施工するので、われわれはノータッチ。どういう形状になるのか、どこに設置するのかも一切知らされていないんです。私もできあがりを楽しみにしているところです」
小松幸雄こまつ・ゆきお
1956年12月18日、秋田県生まれ。文部科学省や国立大学に勤務し、大学施設や研究施設などの建築に携わった後、'17年1月より独立行政法人日本スポーツ振興センター新国立競技場設置本部企画調整役に就いた。'17年7月には、名古屋大学でのキャンパスマネジメントの取り組みが評価され、第1回インフラメンテナンス大賞文部科学大臣賞を受賞した。一級建築士。新国立競技場は約9割完成しており竣工は11月。アスリートやアーティストが登場するオープニングイベントが12月21日に開催予定。