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J3クラブの主将が週2で営業マン。
グルージャ盛岡の“働き方改革”。
text by
菊池康平Kohei Kikuchi
photograph byKohei Kikuchi
posted2019/07/07 09:00
スーツに身を包む福田友也。ピッチではキャプテン、会社では営業マンの“二刀流”だ。
現役選手の強みを出していきたい。
もし30歳を超えて、いきなり電話営業をすることになったら誰でも戸惑うだろうし、年齢の離れた年下の社員に指導されることに抵抗を感じることもあるだろう。ただ、サッカー選手としてプレーしたいという葛藤はもちろん存在する。
それについて理解のある小野寺社長はこのようにも話す。
「彼の同級生は社会に出て活躍していますよね。一方で彼は『30歳まではプレーしたい』と言っていました。ただたとえば30歳になって、社会を知らないまま世の中にポンって出た時に本当に苦労するじゃないですか。極論としてはずっとうちで働いて欲しいですが、次の活躍するフィールドがあれば応援するので、盛岡にいる間は上手くこっちを使ってもらって。次に行った所でもサッカーもそうですが、オフザピッチのところで、しっかりできるような選手になって欲しいです」
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石井は今の環境に感謝していると言う。
「せっかくなので、仕事を通して色んな方を巻き込んでいきたい。ただ単に仕事をするだけではなく、チームにも繋げていきたいし、仕事で出会ったお客さんにも試合に見に来てもらいたい。現役選手の強みを出していきたいです。
2人目の子供が産まれたので、4月から家族も盛岡に来ました。ちょうどそのころから試合にも出れるようになったんです。食事や生活のリズムが安定して、コンディションもかなり上がったんです。2児の父親としても頑張りますよ!」
高校のGKコーチとして週3回勤務。
3人目は今季、モンテディオ山形からグルージャに加入したGKの射庭康太朗だ。
射庭は現在、盛岡中央高校のGKコーチとして週3回勤務している。高校の放課後にあたる16時~19時の時間帯だ。
「どうせ仕事をするならサッカーに関わる仕事をしたかった」、そして「シンプルにまだサッカーでもらえるお金が少ないことがきっかけです」という。
J2に所属するモンテディオ山形では仕事はしていなかったが、大学時代に部活をしながらスポーツショップや、今と同じく高校のGKコーチのアルバイトをしていた。一貫してサッカーに関わることを仕事としてやっていたのだ。このような仕事をやることで得られているものを聞いた。
「山形の時のように、午前にチーム練習、午後は身体のケアや筋トレなどサッカーの為に過ごせたら理想ではあります。指導で色々と言っている分、自分もよりしっかり練習しないと、という姿勢になりました。言うからには僕も手本になる良いプレーをしないといけませんからね。教えることによって自らの課題発見や新しい刺激になっています」