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若手の信頼厚い“優勝請負人”。
ロッテ細川亨がもたらす好循環。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/06/18 11:30
井上晴哉をベンチで迎える細川亨(中)。西武で2004年、'08年、ソフトバンクで'11年、'14年、'15年と通算5度の日本一を経験している。
ロッテの捕手争いにも好影響。
千葉ロッテのキャッチャー陣は、細川を除くと27歳の吉田裕太から25歳の田村龍弘、24歳の宗接唯人に至るまで、ほぼ同世代で固まっている。そのためチーム内競争はかなり熾烈だが、そうした中、一歩引いた位置から物事を見られる細川の存在は大きいし、彼らが道に迷ったとき、現役捕手である細川の所作から何かを学ぶこともきっとあるだろう。
ファームでは若手投手の育成にも一役買っている。中でも高卒3年目の島孝明とコンビを組む機会が多く、実戦の中から彼に様々なヒントを与えている。細川とのコンビについて島は次のように語っている。
「実績のあるベテランの方なんで(配球は)全部任せようと思って投げています。(キャンプの紅白戦で)初めて組んだんですけど本当に信頼をおける感じでしたし、個人的には凄く投げやすかったです。上手く自分の持ち味を引き出してもらった感じがします」
千賀らの若手の開花に一役。
コンビを組むとき、島はとても気持ちよさそうに腕を振って投げている。今季はイースタンリーグで13試合に投げて防御率2.08(6月16日現在)。近年は制球難に苦しむなど、自慢の150km超の速球が活かせないシーズンが続いたが、小野晋吾二軍投手コーチの熱心な指導もあって今ではそれも解消。細川がそんな彼に少しずつ自信を植え付けて行った。島が続ける。
「(細川さんは)オーラと言いますか、座って構えたときの雰囲気とかリズムとか、そのひとつひとつが自分に合っています」
かつては福岡ソフトバンクや東北楽天で、数多の若手投手の育成にも関わり、彼らの飛躍にも一役買ってきた。今や日本を代表する投手に成長した千賀滉大はその最たる例だし、そんな彼らに続けと、千葉ロッテでも島をはじめとする複数の若手が、一軍の舞台に羽ばたこうと今を必死に戦っている。
そのちょっとした手助けを細川が今、担っているのだ。目に見える数字以上の価値が、細川の加入にはあるのではないかとさえ思えてきた。