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若手の信頼厚い“優勝請負人”。
ロッテ細川亨がもたらす好循環。
posted2019/06/18 11:30
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
黒く日焼けした額には大粒の汗が光っている。
気温が30度を超えることもざらだった今年5月、その暑さに負けまいとプロ18年目、39歳のベテランは人一倍に声をあげて、目の前の白球を追っていた。
千葉ロッテ・細川亨。
埼玉西武、福岡ソフトバンク、東北楽天と渡り歩き、千葉ロッテで4球団目となる練達の士は、その姿勢や背中から若手選手に何かを語りかけているようにも見えた。通算1401試合出場(2019年6月16日現在)で、5度の日本一を経験している。
人呼んで「優勝請負人」
かつて野村克也氏から「パ・リーグで一番キャッチャーらしいキャッチャー」と高い評価を受けたインサイドワークとキャッチング能力は、“アラフォー”になった今も全く錆びついていない。
5月21日のオリックス戦では千葉ロッテに入団後、一軍の公式戦に初出場。7回裏、4対4の同点の場面からマスクを被ると、西野勇士、酒居知史、益田直也の3人をリードして、10球、13球、11球といずれも少ない球数で1イニングを締めさせた。
6月16日現在、打席に立つ機会こそまだないが、限られた出場機会の中でも強い存在感を示している。まだまだ表舞台で活躍できる選手のように思えた。
シーズン前の自主トレできっちり走りこみ。
今年1月の自主トレでは走り込みメニューが主体の館山フィットネスセンター・大迫幸一氏のところに身を置いて、きっちり自分を追い込んだ。細川が言う。
「やっぱりある程度は走れないとね。走れなくなったら、まず、ボールも投げられないですし、自分の場合は走るだけ走って鍛えた方がキャンプに入っても仕上がりが早いんですよ。もちろん肩もそうですし、体もそう。そこだけは一切変えないでやってきましたね」
涌井秀章、唐川侑己、益田直也といったピッチャー陣に交じってやった自主トレに、本人も充実感を覚えているようだ。