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田澤純一の充実したマイナー生活。
「日本でやれないルールは……」 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2019/05/30 17:00

田澤純一の充実したマイナー生活。「日本でやれないルールは……」<Number Web> photograph by AFLO

田澤純一には「日本復帰」という選択肢はない。本人が望むかはともかく、日本球界にとっては大きな損失だ。

開幕直前に自由契約になったが、待つ選択。

「(アリゾナのキャンプ地メサに残った)最初の2週間ぐらいは正直、何をしていたのか分からない時間だったし、無駄だったかなとは思う」

 オープン戦6試合無失点と抑えた田澤が、自由契約になったのは開幕直前の3月24日のことだった。彼がカブスと交わしていたそれまでのマイナー契約を引き継いでマイナーに残留させれば、ルール上、Retention Bonus=リテンション(引き留め)・ボーナスを払う義務が生じるので、契約内容を見直して、その3日後に再びマイナー契約をすることになった。

 田澤のようにメジャー歴の長い(7年以上)マイナー選手には、自由契約=他球団と契約する道も残されていたが、彼はカブスで次のチャンスを待つ「選択」をした。

 その決断自体は、間違っていなかった。

 カブスは3月下旬のメジャーリーグ開幕から、田澤がマイナーに合流するまでの2カ月足らずの間、開幕ロースターに入っていた選手の怪我や不調のため、延べ7人ものマイナーリーガーをメジャーに昇格させている。

 ただしその7回のチャンスに、田澤がメジャー昇格の候補になったことは一度もない。むしろ、眼中になかったと言ってもいいぐらいだ。

マイナーリーグで投げてこそ。

 当たり前だ。田澤はマイナーリーグの公式戦で結果を残し、それを評価されてこそメジャー昇格を手にすることができる立場なのだから、メジャーリーグやマイナーリーグのキャンプが終わっても継続されるExtended Spring Training、言うなれば「延長キャンプ」の若手相手に幾ら好投しようとも、それでメジャー昇格の判断がなされることはない。

 寒いアイオワに行くより、暖かなアリゾナで調整した方がいい――。

 チームが決めた32歳のベテラン・リリーバーへの配慮は理解できるが、マイナーリーグで投げなければ、昇格のタイミングも何もない。可能性はほぼゼロだと言っていい。

 キャンプ地=温暖な気候の中で調整することを「メジャー昇格の準備ができ次第、メジャーに上がれるのだろう」と解釈した人もいたようだが、それはとんでもない誤解である。

【次ページ】 「飼い殺し」寸前の状態だった。

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