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避けれたはずの内角ツーシーム。
大谷翔平に見えた“もどかしさ”。

posted2019/06/01 11:00

 
避けれたはずの内角ツーシーム。大谷翔平に見えた“もどかしさ”。<Number Web> photograph by Getty Images

死球を受けた右手薬指は幸いなことに骨折などもしておらず、大谷は翌日もスタメンに名を連ねると安打を放った。

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 昨季終了直後の10月1日、右肘の「トミー・ジョン手術」を受けたエンゼルス大谷翔平が5月7日、打者としてグラウンドへ戻ってきた。直後の2試合こそ無安打に終わったものの、復帰6戦目となった同13日のツインズ戦では、左中間へ豪快な1号アーチを架け、翌日には3安打を放った。同18日には、本拠地アナハイムで2号本塁打を放つなど、約7カ月のブランクを感じさせない打撃だけでなく、あらためて圧倒的な存在感を示した。

 ただ、大谷自身は、本来の感覚を取り戻しているのだろうか。

 そんな疑念を抱かせるようなプレーが起こったのは、5月20日の本拠地でのツインズ戦だった。

 8回裏、救援左腕テイラー・ロジャースが投げた時速150キロの内角ツーシームに対し、大谷がバットを止めようとしてハーフスイングとなった際、投球が右手薬指を直撃した。その直後は、数秒間、苦痛をこらえながら、うずくまる大谷の姿に、本拠地エンゼルスタジアムのスタンドが静まり返るほどだった。

 結果的にフォロースルーでバットを放り出してしまったこともあり、判定は死球ではなく、「空振り」で三振。慌てて駆け付けたブラッド・オースマス監督、トレーナーらのチェックを受け、ダッグアウトへ向かう際の大谷の表情も、最後まで険しかった。

「僕が避けなかったのが悪い」

 幸いなことに、骨には異常がなく、翌日には「3番・指名打者」で出場し、4打数1安打と元気な姿を見せた。

 ただ、試合後の大谷は、投球が右手を直撃した前日のアクシデントを、穏やかな表情ながら、冷静かつ客観的に分析していた。

 中堅から逆方向への長打が多い傾向への対策として、他球団の内角攻めが厳しくなり始めたことも、理由のひとつだったかもしれない。だが、大谷の観点は少し異なっていた。

「それ(内角攻めへの意識)はまったくないですね。むしろ僕が避けなかったのが悪いので、全然、避けられる範囲内のボールだったと思います」

 この言葉は、相手投手への気遣いでもなければ、謙そんでもない。

 避けなかった自らに原因を求め、「避けられる範囲内」と言った前提として、「本来であれば」という但し書きが省かれていたのではないだろうか。

 つまり、自身の感覚としては、スイングを止めたうえで、ボールを避けられると思ったはずが、実際には当たってしまった――。

【次ページ】 手術後、ぶっつけ本番。

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