甲子園の風BACK NUMBER
平成最後はSMAP&マッキーで入場。
センバツ行進曲ってどう作られる?
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byKyodo News
posted2019/03/23 07:00
球春到来を感じさせるセンバツの入場行進。その曲もいろいろな物語があって作られているのだ。
今まで手掛けた行進曲は……。
依頼された時は驚きつつも、「大変光栄なお話なので、喜んでお引き受けしました」と酒井氏。81回から現在まで手がけた入場行進曲は以下の通りだ。
81回(2009)『キセキ』(GReeeeN)
82回(2010)『My Best Of My Life』(Superfly)
83回(2011)『ありがとう』(いきものがかり)
84回(2012)『Everyday、カチューシャ』(AKB48)
85回(2013)『花は咲く』(門倉有希/東日本大震災復興支援ソング)
86回(2014)『恋するフォーチュンクッキー』(AKB48)
87回(2015)『Let It Go~ありのままで~』(May J.ほか)
88回(2016)『もしも運命の人がいるのなら』(西野カナ)
89回(2017)『恋』(星野源)
90回(2018)『今ありて』(大会歌・谷村新司)
91回(2019)『世界に一つだけの花』(SMAP)『どんなときも。』(槇原敬之)
室内と野球場では響き方が違う。
毎日新聞社が入場曲を決め、酒井氏の元に連絡が来るのが1月上旬頃。そこから、約1週間かけて編曲をするという。編曲の際は、どのような点に注意しているのだろうか。
「まず、選手たちが歩きやすいようなリズムを心がけるのはもちろんですが、屋外で演奏する曲なので、それぞれの楽器がよく鳴るような工夫をしています」
たしかに、室内の音楽ホールと野球場では、楽器の響き方がまるで違う。広くて屋根のない甲子園球場だとなおのことで、ただ大音量で吹けば響くというものではない。具体的には、どのような工夫をしているのだろうか。
「たとえば、ピッコロやフルートは響きをキラキラさせるために高めの音域にしたり、テューバなどは複雑な動きをしないようにしたり。小さな楽器は高音を、大きな楽器は低音が特によく響くように心がけています。また、センバツは寒いので、指回しが複雑な譜面にしないようにも気をつけています」