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シニア入り目前でのグリップ改造。
1から出直す丸山茂樹のゴルフ道。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKeigo Amemiya/Number
posted2019/03/20 17:00
全米ゴルフ協会主催のシンポジウムで室伏広治と対談した丸山茂樹。シニアツアーでの復帰に向けて悪戦苦闘の日々を送っている。
グリップ改造は1からのスタート。
丸山が名を挙げた「時松」とは、変則のベースボールグリップで活躍する時松隆光のこと。
左手親指を握りこむオーソドックスなオーバーラッピンググリップに比べ、野球のバットのように10本の指でぎゅっと握るグリップは親指の負担が格段に軽減される。ツアー優勝を果たした時松のプレーを見て、丸山はゴルフを続ける唯一残された道を見つけることができたのだった。
ただし、ゴルフを始めた時から慣れ親しんだ握り方を変えるのは簡単なことではない。丸山にとってはゴルフを再開する、というよりも1から学び直すような作業になった。
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「ベースボールグリップにしたことで、以前とは全く違う世界になってしまった。力の入れどころが分からないし、力を入れれば入れるほど曲がる。右手と左手のバランスが全然違うところにあるから、知らない間に右手にものすごい力が入ってたりとか。左のパワーが薄れてきたりとか、強く握っていないのに球数を打つと疲れてくる。痛みも出てくるので球数の制限もしないといけない。
その中で考えられることを毎日やる。こういう時にこういう失敗が出るんだとか覚えないといけないし、とにかく全然時間が足りない」
現状は「中3か高1レベル」
なんでもないシチュエーションからダフったり、チョロしたりと、まるでアマチュアのような「意味の分からない」ミスが出る。そんな手探りのゴルフに、ツアーを離れていたブランクと年齢的な衰えが重なり、以前の自分を取り戻す作業は困難を極めている。
現状は「中3か高1の時ぐらいのレベル」と心もとないが、今年50歳でシニア入りする丸山にとって、この先の目標は米シニアのチャンピオンズツアーでのプレーである。
そして、選手として思い悩めるのなら、それは苦しみではなく喜びであるようだ。
「指導者が誰もいないから、常に自分で試行錯誤しなくちゃいけない。辛いっちゃあ辛いけど、楽しいっちゃあ楽しいのかな。ゴルフができているだけで幸せ。元々の自分のレベルではできなくても、ゴルフができる喜びは格別ですよ」