リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
コウチーニョ、バルサ2年目の迷い。
イニエスタの後継と目された不幸。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto Press
posted2019/03/17 10:00
CLリヨン戦ではゴールを決めたコウチーニョだが、リバプール時代の力を発揮できているとは言い難い。
4-3-3システムでの戸惑い。
今季のリーガの成績は、25試合1551分で4得点2アシスト。昨季は約100分に1度の割合でゴールに絡んでいたが、今季は約259分に1度。チームメイトのシュートに繋がった「キーパス」は1試合平均0.9本で、2013-14シーズン以降最も少ない。
本人にしてみれば、歯車が狂ってしまった理由は幾つかあるのだろう。
その1つに挙げられるのは、4-4-2から4-3-3へのフォーメーション変更に伴う役割の変化ではないだろうか。
「1試合のうちに左サイドをやり、右サイドをやり、中盤までやることもある。ちょっと戸惑っている」
コウチーニョに近い者のコメントとして、『エル・パイス』紙が取り上げている。そもそも、バルサはコウチーニョに何を求めているのか。
移籍交渉に携わった前強化担当ロベルト・フェルナンデスは、カタールのスポーツ専門チャンネル『beIN Sports』の取材を受けた際に、「コウチーニョはイニエスタの理想的な後継者だと常々思っていた」と語っている。得点が伸びないのは「FWじゃないから当然」と考えるクラブ関係者もいるという。
本来は「縦に動く」アタッカー。
また、チームの諸事に携わる部署にはこんな意見を持つ者もいるそうだ。
「非常に巧い選手なので、そこそこのチームが相手のときは中盤でも問題ないが、本来はアタッカーだ。彼の最たる武器はドリブルとシュート。秀でている部分は守備ではなく、ゴールチャンスを生み出す才能だ」
現場を預かるバルベルデ監督の見方もこちらに近く、昨年9月末にはこう評している。
「コウチーニョは縦に動く選手。1対1を好んで仕掛けるが、自陣に近くリスクが大きいエリアでも勝負してしまう」
そして「左サイドの方がやりやすいようだ」と判断するとそれ以後、先発起用する際は必ず左に置いている。
それでも、ライン際はSBジョルディ・アルバの通り道として空けておく必要があり、監督指示による戦術的ポジション変更だけでなく、選手の自主的なポジションチェンジも頻繁に行われるため、「左も右も中盤も」ということが起こりうる。
コウチーニョほどの選手ならば一度波に乗ってしまえば問題はないはずだが、乗るべき波がいまだ掴めていないのだろう。