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<世界に認められた2人のスペシャル対談>松山英樹×中嶋常幸「メジャーを勝つために」
text by

鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/01/03 10:30

今や限りなく現実的となったメジャー初優勝への鍵は何か。
世界最高峰の景色を知る中嶋と語り尽くした。
――'17年の4大メジャー大会、松山さんはほぼ全てで優勝の可能性があったと思いますが、その中でも特に印象に残っている大会、シーンはありますか。
松山 自分としては全く何も残っていないんです。悔しさしか残っていなくて……。
中嶋 僕も見ている側として、英樹のこの1年というのは、ひと言では表せないな。絶不調で迎えたマスターズも最後は上位に食い込んだし、全米オープンでは(ブルックス・)ケプカが流れを掴んで勝ったけど、青木(功)さんに並ぶ2位タイ(日本人歴代最高)だったし、全英オープンも最終日を5位タイで迎えていい戦いをした。そして全米プロでは最終日のバックナインで首位にいた。残念ながら届かなかったけど、こうやって挙げていけばきりがない。たくさんのいいシーンを見せてくれたね。
青木さんとジャック・ニクラウスのバルタスロールの死闘(1980年全米オープン)もそうだし、僕の場合は1987年の全米オープン最終日。首位に立った直後に木に当たってロストになったショットとか、メジャー優勝に迫った場面はそれぞれにある。でもシーズンを通して、そういったシーンをこれだけ多く作った選手は今までいなかった。
ただその中で1つ、僕が見ていて、自分がその立場だったら……と胸が熱くなったのは、全米プロの最終日だね。特に気になったのは、最初の3ホールなんだ。1番でナイスショット、ナイスセカンド、ピンの右横1mくらいにつけて、そのパットが右にフッと外れた。誰もがバーディーだと思ったから「えっ!」となってね。その後3番ホールではピンフラッグにボールが当たって、跳ね返っちゃった。当たらなければ、もっと近い位置だった……。この2つが悔しかった。ピンフラッグに当たった時、どう思っていたの?
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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