球体とリズムBACK NUMBER
ポステコグルー2年目のマリノスで、
三好康児と天野純が誓う「優勝」。
posted2019/02/20 08:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
J.LEAGUE
横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は信念の人だ。
元旦に掲載された記事でも書いたように、現在53歳の指揮官は自分の信じる道を突き進む。彼がオーストラリア代表監督を辞任し、日本での指導を決断した理由は、おそらくその技術を尊ぶスタイルが日本では受け入れられると考えたからではないか。
そんな想像をしていたので、Jリーグキックオフカンファレンスで本人に直接訊いてみた。
「一理ある。私の目指すスタイルが日本人選手に適しているとは、たしかに思っていたよ。それからJリーグはアジアで最高のレベルだと考えているので、そんな舞台で自分の力を試してみたかった」
そこに障害があれば、さらに燃えるタイプのようだ。
「言葉や文化の違い。私はそれにも挑んでみたかった。フットボーラーにはチャレンジがつきものだからね。つまり高いレベルのリーグで、言葉や文化の壁を乗り越え、自分のフィロソフィーをチームに植え付けたうえで、成功をつかめるか。そうした困難なチャレンジが私を掻き立てたんだ」
就任1年目に「礎は築けた」。
では、成功とも失敗ともジャッジしにくい就任1年目のシーズンを、ギリシャ系オーストラリア人監督自身はどう見ているのか。率直に答えてほしい、と念を押して尋ねると、彼は次のように返答した。
「目指すフットボールの礎を築けたと考えている。ものすごく短い期間に、やり方だけでなく、考え方も変えて、色んなことを試した。結果はとても不安定だった。いい時は本当に素晴らしかったけれど、悪い時は目も当てられないほどに。ただし、物事を劇的に変えようとすれば、そうしたことも起こりうる。だから私はポジティブに考えているよ。
1年間やってきて、私にはわかった。想像していた通り、日本人選手の技術的な可能性は非常に高く、身体的な能力にも優れているから、私の信じるやり方にも適応できることが。私は指導者なので、選手たちを教育したり、マインドセットに変化をもたらしたり、自分たちならできると信じるように促したりすることも、自分の仕事に含まれていると考える。私も2年目に期待しているよ。とても重要なシーズンだ」