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プロレスの価値観を揺さぶる“カリスマ”
DDT王者・佐々木大輔という男。
 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph byDDT Pro-Wrestling

posted2019/02/14 10:30

プロレスの価値観を揺さぶる“カリスマ”DDT王者・佐々木大輔という男。<Number Web> photograph by DDT Pro-Wrestling

正論と破天荒さを両立させる男・佐々木大輔。ここ数年常にDDTプロレスの最前線で闘い、言葉を発してきた。

「プロレスの表現にも、もっと幅があっていい」

 彼が闘う相手はDDTであり、その向こうにあるプロレス界。観客たちと、その「感受性の幅」にも挑んでいきたいと考えている。「もっとメチャクチャに、ワケが分かんないことをやりたい」と言う佐々木が目指すのは、プロレスにまつわる価値観を揺さぶることだ。

 試合がない日は朝4時頃に寝て夕方4時頃に起き出し、ビールを飲みながら配信サイトで映画を見るというカリスマ(3つのサイトに加入しているそうだ)曰く「プロレスの表現も、映画とか音楽みたいにもっと幅があっていいんじゃないか。ポップじゃない人間、どうかしてる人間がやるのだってプロレスだよ」。

 プロレスを見て観客が感じるもの、それは主に“興奮”や“熱狂”あるいは“感動”だ。好きな選手の敗北や引退に“せつなさ”を感じる時もある。そうした感情の範囲を、佐々木は広げたいのだ。

 たとえば“『タクシードライバー』を見た後のような気分になるプロレス”があったっていいと佐々木は考えている。

「『時計じかけのオレンジ』見たような気分になったりとか。感動は全然しないけど“とにかくヤバかった!”っていう」

 そういうプロレスを見たいファンもいるはずだし、それを“ポップ”にプロレスを伝えてきたDDTでやることにも意味があると言っていい。好き勝手やってるようでプロレスを考え抜いているのだ、カリスマは。本人によれば「そういうふうに言われるのが一番迷惑」だそうだが。

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