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エスパルス、5年ぶりの1ケタ順位。
若手とベテランの融合で名門復権。
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byGetty Images
posted2018/12/29 10:30
北川や金子らの台頭があった2018年のエスパルス。来季の奮戦にも期待したいところだ。
ドウグラスの加入で覚醒。
攻撃面では、補強が見事に成功した。チームが覚醒したのは、ロシアW杯の中断が明けた7月。きっかけはJ1広島などでプレー経験があるブラジル出身のFWドウグラスの加入だ。デビュー戦で初得点すると、出場15試合で11得点とゴールを量産した。
加入前の15試合が19だったチーム得点は、加入後の19試合で37と急増した。総得点も昨年の36から今季は56まで伸ばし、リーグ最多の57得点で2連覇した川崎フロンターレにあと1点まで迫った。
常に「チームの勝利のために」と繰り返すドウグラスは、自身の得点だけでなく、起点やアシストでも貢献した。結果、FW北川航也が13得点、MF金子翔太が10得点でともに初の2ケタの大台を記録。クラブでは20年ぶりとなるトリオで2ケタの快挙も達成した。
その北川がクラブでは6年ぶりで日本代表入りすると、「ドウグラスの加入が引き寄せた」とクラブ幹部は補強効果に胸を張った。
生え抜きたちが主力で活躍。
力を入れてきた育成選手の強化も、今季大きく開花した。きっかけは2010年シーズンの終了後だった。スカウトなどで獲得した主力組が大量に流出し、クラブは『より育成に力を』と舵を切る。
やや時間はかかったが、その効果もあって今季は日本代表の北川や東京五輪を目指すU-21日本代表の常連となったDF立田悠悟、そしてMF石毛秀樹らのアカデミー出身選手、さらに高校から加入した竹内、金子、MF白崎凌兵、DF松原后ら20代半ば付近までのクラブ育ちの生え抜き組がそろって主力としてピッチに立った。
昨季加入したGK六反勇治は今季好調の要因を、生え抜き選手の成長として挙げた。
「試合によってだが、自分と外国人選手以外は生え抜きばかり。みんな上手いし、クラブを愛する気持ちも強い。その彼らに他の若手も刺激された。さらにチームを支えてくれる地元の力、ファンやサポーターの思いも強く感じる。他の地域から見たら、うらやましいサッカー文化の浸透が好調の要因の1つだと思う」