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広島・森崎和幸、引退決断の真相。
見守り続けた西岡明彦アナとの絆。
posted2018/12/28 17:30
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph by
Toshihide Ishikura
「開口一番、『どっちがどっちだか、分かりますか?』と聞いてきたんですよね」
15年近く前のことを懐かしく振り返る声を、サッカー好きなら一度は聞いたことがあるはずだ。フリーアナウンサーの西岡明彦氏は、Jリーグや欧州各国リーグなどを幅広く担当する、サッカー実況の第一人者。2004年の夏に新宿のホテルで会った、よく似た顔の2人とのエピソードを思い出していた。
その年の2月、西岡氏は広島で、前年限りで現役を引退した森保一氏の引退記念パーティーを主催した。フリーランスになる前に広島の民放テレビ局、広島ホームテレビでアナウンサーをしていた西岡氏は、取材を通じて交流を深めていた森保氏の引退後のマネジメントを担当することになり、2人で『株式会社フットメディア』を立ち上げている。
そのパーティーと、その後の打ち上げに参加していたのが、サンフレッチェ広島の森崎和幸・浩司の双子の兄弟だった。
「2人とゆっくり話したのは、打ち上げのときが初めてです。その年の夏、サンフレッチェが東京でアウェーゲームを戦うときに『会えませんか』と連絡が来ました」
性格を読んで「カズでしょ?」。
新宿のホテルに2人を訪ね、カフェの椅子に座ると、西岡氏は冒頭のように聞かれた。当時の2人は髪型も同じ感じで、現在よりもよく似ており、数回会っただけでは区別がつかない人も多かった。
「でも、こういうときに話を主導するのはカズだろうと思ったので、聞いてきたほうに『カズでしょ?』と答えたら、『当たりです』と。用件は何かと思ったら、僕にマネジメントをしてほしいと頼んできたんです」
森崎和幸は、マネジメントを依頼した当時の思いを、こう振り返る。
「年代別代表の活動のときなどに他のクラブの選手に聞くと、マネジメント契約を結んでいる選手が多くいました。自分たちは広島や、西日本くらいなら名前を知られていたかもしれないですが、関東では知られていないと感じていて。
それに、自分はサンフレッチェでしかプレーしていないので、他のクラブの良いところなどを採り入れるためにも、情報を知りたい思いがありました。西岡さんは関東在住で、顔も広いので、いろいろな面でサポートしてもらいたかったんです」