ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
ボルシアMGの斬新な可変式サッカー。
ブンデス2位の攻撃力と伝統の重み。
posted2018/12/02 08:00
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
UNIPHOTO PRESS
ドイツも寒くなってきました。しかし、フランクフルトの住人、長谷部誠選手に聞くと、「まだまだ序の口。今年のドイツは暖かい方ですよ」とのこと。分かってはいましたが、身体の芯に響くという“ドイツの本当の冬”が心配です。
外に出なければいい。だけど、週末は必ず2時間くらい外で佇まなきゃいけない。極寒の中でのサッカー観戦です。
試合を観ている最中は楽しいし、エキサイティングな試合を目撃すると至福のときと思うのですが、試合が終わる頃には身体がカチンカチン。室内に戻っても震えが止まらず、試合後の取材で「なんで声にビブラートが掛かってるの?」と心配されたこともあります。
さて、現在ブンデスリーガで好調を維持しているチームがあります。無敗で首位を走るドルトムントを追走して2位につける、ボルシアMGです。
攻撃サッカーの殿堂が復活。
オールドファンなら、ボルシアMGに思い入れのある方も多いのではないでしょうか。
1960年代末から70年代にかけてリーガを5度制した強豪だったのはもちろん、1977年にドイツへ渡ってプレーした奥寺康彦さん(現・横浜FC代表取締役会長)がケルンやブレーメンの一員として対戦した相手として、ボルシアMGは日本のサッカーファンに認知されていたからです。
ただ、近年のボルシアMGは低迷しており、目立った成績は2014-2015シーズンの3位くらい。ここ2シーズンは続けて9位に終わっています。ところが今季は、就任3年目のディーター・ヘキンク監督のチーム構築が順調に進み、かつて「攻撃サッカーの殿堂」と称された、クラブ本来のチームスタイルが開花し始めているのです。
ヘキンク監督率いるボルシアMGの試合を初めて観たのは、今年の4月1日。ブンデスリーガ第28節のマインツ戦でした。ヘキンク監督は対戦相手によってシステムを代えるタイプで、その試合ではマインツと同じ4-1-2-3を採用。攻撃時には左SBのオスカル・ベントを最前線まで押し上げる3-1-2-4に変化させていました。