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酒井高徳がブンデス2部で新境地。
キャプテンは辞退しても立場は不変。
posted2018/12/01 11:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
「勝てた試合。勝ち点3を失ったのと同じですね。チャンスもいっぱいあったから」
HSVの酒井高徳は悔しそうに振り返った。11月26日ホームにウニオン・ベルリンを迎えたブンデスリーガ2部第14節を2-2の同点で終えた後のことだ。
試合前の時点で、首位HSVと3位ウニオンとの差は4ポイント。首位街道を走るHSVにとって、この試合で勝利できれば大きかったが、開始12分に先制点を許してしまう。
「ここからは、メンタリティが大事だ。後半は相手が落ちてくるから、絶対に自分たちの時間ができる。そこで点が取れればこの試合をひっくり返せる」
ハーフタイム、酒井はチームメイトにそう訴えたという。
長くHSVでキャプテンを務めてきた酒井だったが、今季はその任には就いていない。「チームを変えるべきだ」と、昨季2部降格が決まった時点で監督に対して、キャプテンをやめる決意を告げたという。
しかしこの日は主将のアーロン・ハントが途中交代した74分から、酒井がキャプテンマークを引き継いだ。
セカンドボールを拾いあう難しい状況。
試合は酒井の言葉通り、HSVが後半はアグレッシブに攻勢をかける。すると58分、65分と得点を重ねて逆転に成功した。しかしその後何度も迎えたチャンスでは追加点が奪えず、結果的には相手のロングボール対策で高さのあるDFを投入したことが裏目に出た。そう酒井は考えていた。
「相手はロングボールだけだったので、そこでヘディングに強い選手を3枚並べた。それによって、前に人数がいなくなった。(自分たちの)ゴールから遠い場所でボールキープすべきだったのにできなくなった。そうなると自然にチーム全体が下がる結果となり、クリアしても相手ゴールに近い場所で、セカンドボールを拾いあう難しい状況になった」