野球善哉BACK NUMBER
浅村がこぼした「力の差を感じる」。
西武とソフトバンクは何が違ったか。
posted2018/10/22 12:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
主将から弱気な発言が聞こえてきたのは、3敗目を喫して王手をかけられた試合後のことだった。
「力の差を感じる。ソフトバンクとの」
どうにもできそうにもない連敗街道に、浅村栄斗は俯いていた。
10年ぶりにパ・リーグを制覇した西武が、CSファイナルで敗退した。
ペナントレースでは2位のソフトバンクに6.5ゲーム差をつけての優勝だったが、3割30本塁打100打点をクリアした浅村にそこまで言わせた「力の差」とはなんだったのか。
「中継ぎ陣の力の差を感じた。ソフトバンクの中はやっぱりタフだった」
シリーズ後の辻発彦監督の言葉である。
ソフトバンク打線を止められず。
改めてCSファイナルを振り返って、西武の投手事情は苦しかった。
初戦でエースの菊池雄星が5回6失点で敗れた。2戦目の多和田真三郎はなんとか勝利をもぎ取ったものの、6回5失点と苦しいピッチング。3戦目の榎田大樹は3回しか持たず、4戦目の今井達也も2回まで2つの2点本塁打を浴びて試合を作ることができなかった。
後を継いだ投手も続々と打たれた。
1戦目の菊池の後に登板した十亀剣は1回で3失点(自責点は2)、3戦目の榎田の後を受け継いだ際も2回8失点(自責点は6)と火に油をそそぐ結果となった。
マーティン、野田昇吾、増田達至、平井克典……登板した投手たちが次々と炎上し、第5戦を迎えるまでの4試合で38失点を喫した。投手陣がソフトバンク打線を食い止められなかったことが大きな敗因といえよう。
とはいえソフトバンクにしても、決して最初から万全の投手陣だったわけではない。CSファーストステージからの連戦で先発陣は中4日での登板を余儀無くされていた。実際、2戦目はミランダの乱調で一方的にやられている。
しかし西武との間で差ができたのは、唯一の敗戦となった2戦目だった。
ルーキーの高橋礼は、決戦前にこう話していた。
「シーズン中に対戦した時から、西武打線が合ってなくて抑えられていた。CSでも、大事な場面での登板があるかなと思っていました」