野球善哉BACK NUMBER
浅村がこぼした「力の差を感じる」。
西武とソフトバンクは何が違ったか。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/10/22 12:00
リーグ最下位の防御率を攻撃力でカバーしてリーグを制したが、短期決戦ではその両極端さが裏目に出た形だ。
西武のブルペンに余力はほぼなかった。
さらにソフトバンクは、第2戦で4失点した寺原隼人を第3戦の前に抹消して、フェニックス・リーグに参加していたルーキーの椎野新を呼び寄せた。彼もまた、3戦目の大量リードの場面で登板している。ブルペンに余裕をもたらす大きな仕事だった。
椎野は「(CSに)呼んでもらおうという気持ちで調整していたわけではなかったんですけど、宮崎では自分の課題に取り組んでいてものすごく調子がよかったんです」という中での抜擢だった。
一方の西武は、セットアッパーのマーティン、クローザーのヒースが絶対的で、打者ではスタメンの起用もあるメヒア。他にも先発投手のウルフ、先発と中継ぎができる郭俊麟がいたが、CSが開幕するとウルフと郭の2人は登録せずに備えていた。
考えられる戦略としては、ウルフが先発するまでの間は郭を中継ぎ待機させ、ウルフの登録の際に郭を抹消する。あるいは郭は登録せず、もつれた際の秘密兵器として温存しておくかだった。
ところが投手陣事情が悪い中で、郭が登録されたのは4戦目、ウルフは5戦目になってからだった。つまり、郭は中継ぎの1試合にしか登板することができなかったのだ。
ソフトバンクが入念にした人員整備を、西武はしなかった。
3戦目が終わって十亀をすでに抹消していたから、4戦目に郭を登録した時点で、西武のブルペンに余力はほとんどなかったといっていい。
浅村「追いかける展開は難しい」
それでも西武打線は、なんとか反撃を試みようと食い下がった。特に浅村は2本塁打を放ち4割をマークした。それでも、後手を踏んだ試合展開を跳ね返すのは簡単ではなかった。
浅村は唇を噛む。
「試合が追いかける展開になって、相手の投手がコロコロかわると、僕たちのペースでやりづらいなというのはありました。リードした展開なら問題はなかったと思いますけど、序盤に点を取られる試合展開だったんで、相手の継投に対応するのが難しかったですね」