藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
藤田俊哉がW杯で得た成長のヒント。
森保“兼任”ジャパンが進むべき道。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byShigeki Yamamoto
posted2018/07/31 17:00
サンフレッチェ広島でJ1制覇を3度成し遂げた森保一監督。日本代表で世界と伍するための手腕を発揮できるか。
ベスト8との差はまだまだ大きい。
そして、日本代表もロシアの地で大きなインパクトを残した。世界中から集まったサポーターから、これほどまでに日本代表について声をかけてもらった経験は今までなかったからだ。この出来事はチームの活躍ぶりを証明している。このような経験を積み上げていくことで、ベスト8を戦う姿を早く見たい。
ただ一方で、ベスト16とベスト8の戦いはこんなにも差があるのか……というのが、現地で見た私の素直な感想だ。“ベスト8の世界”を日本代表が体感できれば、さらに理解は深まり、そして世界との距離もさらに縮まるはず。
力強い組織力で戦えることは証明できた。次は組織を構成する選手の個々の力をさらに高めることがベスト8進出への必須条件になる。日本代表を強化する上で、モドリッチやラキティッチ、カンテやグリーズマンのような体格的に似ている選手のプレーには多くのヒントがあるだろう。
環境変化に対応できるスキルを。
現在、世界で評価される多くの日本人は中盤の選手だ。日本では守備的MFとして活躍している選手でも、海外のクラブに入ると攻撃的なポジションを任せられるケースも少なくない。その理由はフィジカル的な問題と戦術理解にある。
監督にとって、ゲーム中の戦術変更をスムーズに理解してほしいのは当然のこと。選手としては、できるだけ早くチームに馴染むことも大切だ。この2点は時間を要するが、それを解消するためにはやはりプレーで監督、コーチングスタッフに大きなインパクトを残すことだ。
それはキックでもいいし、なにか際立ったテクニック、スピードなどでもいい。もちろんヨーロッパの選手とは育った環境に違いはあるが、技術レベルを最大限に高める作業はどこでもできる。海外での環境変化に対応できるスキルを日本で徹底的に身につけておくべきだろう。
常々お伝えしているが、改めてボールを正確に止める、正確に蹴るというシンプルな技術の重要性を見直すことも重要だ。小学生の頃から蹴ることの基本を身につけたい。良いフォームでのキックからはパンチの効いたボールが生まれる。それがシュート力や展開力に繋がる。だからこそ、ミドルシュートも積極的に打たせたい。