ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
抑え投手は同点だと打たれやすい?
DeNA・山崎康晃に率直に聞いてみた。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2018/07/08 09:00
山崎康晃(右)はオールスターのファン投票でセ・リーグ最多得票で抑え部門1位に輝き、4年連続4度目の出場が決まった。
ここまでの仕事はクローザーとして完璧。
真の意味でピッチャーとして、そしてゲームを締めくくるクローザーとして、決して揺らがない比類なき“怖さ”を持つこと。これが今の山崎にとって大切なことであり、必要なことなのかもしれない。
とはいえ、前半戦全体を見れば30試合に登板し防御率1.20、失点は5と、その役目をほぼ完ぺきに果たしている。昨年の春先のように大崩れすることもなければ、連投が重なってもストレートの球威が落ちることもない。課題はしっかりとクリアしているといっていいだろう。
「やはり昨年前半の(クローザーを外された)苦しい時期や、日本シリーズでの悔しい思いが糧となり、反省が上手く生かされているなと感じています。二度と同じ失敗を繰り返さないように細心の注意を払っていますし、コンディショニングと精神面が上手くリンクしていると思います」
ストレートの“ライン”が生きている。
では、テクニカルな部分ではどうなのか。球種は昨季同様にストレートとツーシームの2種類のみ。新球としてシーズン前に話題になったスラーブは使っていない。
「キャッチャーとよく話すのは、しっかりと“ライン”が出てきているということです」
いわば、制球の整った糸を引くようなキレのあるストレート。
「コンディショニングが上手くいっているおかげで、キャッチャーが構えたところにしっかりとラインが出て、体もきちんと振り切れている。ストレートで勝負できているのが、現時点で言える大きなポイントだと思います」
苦しいときこそ、しっかりと腕を振る。これが山崎の信条だ。ただ順調ではあるが、決して油断はしていない。
「問題は後半戦。夏場にかけ絶対にバテがきますからそこは気をつけたい」
一昨年のことが頭をよぎる。夏場に不調を覚えた山崎は、8月の1カ月間、防御率15.12と大スランプに陥った。予期せぬところに落とし穴があることを山崎は誰よりも知っている。
「それまで普通に投げているのに突然おかしくなって、歯車ではないけど、すべてが狂ってしまう。そうなると修正が難しくなります。コンディショニングに気を使い、どんな些細な変化にも気づくことが大切。これがプロになって4年間で気づき、学んだことのひとつですね」