ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
抑え投手は同点だと打たれやすい?
DeNA・山崎康晃に率直に聞いてみた。
posted2018/07/08 09:00
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
「その感覚は、12球団のクローザーでしか分からないことだと思います」
ハマの守護神・山崎康晃は、あまり聞かれたくはないだろう質問に対し、一切嫌な顔を見せることなく真摯に答えた。
不思議なものである。リードをしているセーブ・シチュエーションではなく、同点の場面で登板をして失点を喫してしまう。
山崎は今シーズンここまで2勝2敗17セーブ(以下データは7月5日現在)と上々の成績をあげているが、こと2敗に関しては両方とも同点の場面での登板だった。クローザーがセーブ・シチュエーションで被弾して敗戦投手になることは珍しくはないが、山崎にかぎっては状況が違う。
ひとつは4月26日の広島戦。9回にマウンドに上がった山崎は、エルドレッドにソロホームランを浴び今季1敗目を喫した。もうひとつは6月28日の阪神戦。本人が「あんなことは初めて」と驚く一塁への送球エラーも重なり勝ち星を献上している。
「もちろんいつも通りのつもりですが……」
プロフェッショナルである以上、どんな場面でも変わることなくベストのピッチングを目指すのは当たり前のことだが、それを前提に山崎は正直な気持ちを吐露する。
「もちろん油断はなくいつも通りマウンドに上がっているつもりですが、セーブ・シチュエーションと同点におけるクローザーのメンタリティーって全然違うと、僕個人は考えています。
気持ちの持っていき方や、準備の仕方が別にあるんじゃないかって。声が掛かれば投げなければいけないし、抑えるのが当然なのですが、まだまだ精神的な部分で鍛えていかなければいけない部分があると認識しています」
山崎はことあるごとに「野球はメンタルのスポーツ」だと語っている。心の微細な揺らぎがピッチングに表れる。
「足りない部分を補っていけるような“真実”をもっと作っていかなければいけない。僕のピッチャーとしての課題は、その辺にあると思いますね」