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ムバッペ以外もロサーノ、ゴロビン。
ロシアW杯で評価を高めた新星たち。
posted2018/07/04 08:00
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph by
Getty Images
ロシアワールドカップで「ペレ以来」「ボルト以上」などと話題をさらっているのは、フランス代表の19歳、キリアン・ムバッペだ。
10代の選手がW杯の決勝トーナメントで複数ゴールをマークしたのは、1958年大会のペレ以来60年ぶりの快挙という。さらに、その決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦では、4人を置き去りにしたPK奪取に至る長駆の激走で、平均時速38キロを記録。ウサイン・ボルトが陸上男子100メートル走の9秒58という世界記録を樹立した際の37.58キロを上回ったとするドイツ紙の報道もある。
熱戦が続くロシアW杯で声価を高めているのは“サッカーの王様”に並び、“人類最速のスプリンター”を超えたとさえ言われるこの快足FWだけではない。ここではサッカー大国や有力国以外から、今回のW杯で株を上げた選手を紹介しよう。普段はスポットライトが当たる機会の少ない「躍進を遂げた国、健闘を見せた国」から厳選した注目銘柄だ。
メキシコの「チャッキー」ことロサーノ。
まさかのグループリーグ敗退に終わったドイツが、大きく躓いた初戦。前回大会王者を沈める決勝ゴールを奪ったのが、メキシコのイルビング・ロサーノだ。技術力の高さに物を言わせた、流れるような高速カウンターアタックから、最後は左ウイングのロサーノが難攻不落のドイツのGKマヌエル・ノイアーを破ってみせた。
1995年7月30日生まれで22歳のロサーノは「チャッキー」とも呼ばれる。不意に大声を出し、人を驚かせる悪戯を繰り返しているうちに、有名なホラー映画の登場人物から、そのニックネームがついたそうだ。ピッチ上での問題行動でも物議を醸してきたとはいえ、その才能は早くから注目されていた。
メキシコリーグには18歳でデビューした。途中出場で83分からピッチに立つと、5分後の88分に決勝ゴールを奪うという鮮烈な初陣だった。21歳でリオデジャネイロ五輪に出場し、'17年夏に移籍したオランダリーグでは1年目から17ゴール・8アシストと、所属するPSVのリーグ制覇に大きく貢献してみせた。FIFA(国際サッカー連盟)が'17年12月に発表した「ヤングスター2017」8人の1人に選ばれ、今回のW杯では2戦目の韓国戦でもリードを2点に広げる追加点をアシストしている。