ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
ロナウドの運動量と支配率の反比例。
薄氷のポルトガルこそW杯の面白さ。
posted2018/06/26 14:30
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Getty Images
38%→46%→67%。
ポルトガルのボール保持率は、1試合ごとに上がっていった。
8.7キロ→8.8キロ→7.5キロ。
エース、クリスティアーノ・ロナウドの走行距離は、このイランとの最終戦だけ15%ほど落ちた。連続得点も2試合でストップした。だが、その動きは、チームを導いているように見えた。
走った距離が減っているのに、プレーエリアにはさほどの違いがない。イラン相手の狙いどころを示すような動きだった。
イランが敷いた4-1-4-1のフォーメーションの内外で、C・ロナウドが自在に顔を出す。中盤中央へ下がったかと思えば、時にタッチライン際に張る。ともに、狙うポイントとなるエリアだった。外に出たボールを急いでスローインで投げ入れる様は、チャンスを逃すなとの意思を体で語っているようだった。
34歳クアレスマが右で見せた円熟味。
そのエースに示されたポイントへ最も多くのパスをさばいたのが、中盤の底でコンビを組んだアドリエン・シルバとウィリアム・カルバーリョだった。
前に出るアンドレ・シウバはイランのアンカー、サイード・エザトラヒの横でたびたびパスを受ける。最前線からの守備がボールの奪いどころを絞り切れず、パスコースを消す中盤の横の動きとDFの前への出足が足りないイランを相手に、自由に動けるスペースだった。
相棒のカルバーリョは、より長いパスを左右に配することに注力した。スライドが速くなく、動きの統一が難しいイランに対して、サイドハーフとサイドバックのコンビが攻撃を楽しむのだ。
特に効いていたのが右側で、今大会初先発のリカルド・クアレスマはサイドにとどまらず、34歳という年齢を感じさせない情熱を発散しながらピッチを自由に駆ける。サイドバックのセドリクは内にも入って、プレーの組み立てに関与する場面もあった。