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週休2日制度で部活はどう変わるか。
高校野球のあの規制はGHQが作った? 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2018/03/17 08:00

週休2日制度で部活はどう変わるか。高校野球のあの規制はGHQが作った?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

甲子園に出場する強豪校で、週休2日の学校は現状ほとんどない。今後どのような変化が起こるのだろうか。

オフシーズン規定はGHQの意向でできた?

 ガイドラインをどこまで踏襲するのかは、それぞれの競技団体にゆだねられるだろうが、内からの改革を待つのではなく、外からの働きかけがあったことの意義は大きい。週休2日制度がニュースになることで、スポーツ指導の在り方が変わり、新たな潮流を生む可能性がある。

 日本高校野球連盟が採り入れているルールの1つに「オフシーズン規定」というものがある。これは12月~3月上旬までの試合を禁止するというもので、この期間は「全力プレーを避ける」狙いがある。

「豪雪地帯、寒冷地との公平性をはかるため」にこの規定が作られたという俗説は誤りだ。実は、日本高野連の内部だけで決められたルールではなく、戦後復興に向かう中で、GHQの進言を受けてつくられたのである。

「1年じゅう野球をする気なのか」

 元日本高野連事務局長の田名部和裕氏が、あるシンポジウムでオフシーズン規定について事実を明かしている。

「オフシーズン規定というのは、私が連盟に入ったときも、なぜ始まったのかよく知られていませんでした。調べてみたところ、戦前にはないルールだったんです。戦争が終わって、GHQの査察があるなかで夏の甲子園大会を復活させようとしたところ、すぐにOKがでました。

 ところが、翌年に毎日新聞がセンバツを開催しようとすると、GHQからダメだと。『1年じゅう野球をする気なのか。色んなスポーツをやらないといけない』と言われたんです。しかし実際、戦後の苦しい経済事情の中でいろんなスポーツをするのは無理だということを話して、折り合ったのがオフシーズン規定。当初は12月~4月までだったんですけど、その期間は試合をやらないということになったんです」

 もし、GHQの査察がなければ、高校野球は小中学校のように1年じゅう試合のスケジュールが組まれていたのかもしれない。外からの意見によって、ルールをつくるようになったという経緯は興味深い話だ。

【次ページ】 私学の強豪校は完全には従わないだろうが。

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